お知らせ(福島正実記念SF童話賞)

選考経過

大賞 「透明犬メイ」   辻 貴司
佳作 「ママ・ロック」 橋口 さゆ希

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受賞の言葉

大賞

 

『透明犬メイ』 辻 貴司

【受賞の言葉】

いつか、自分が心から納得できる作品が書けたとき、
きっと、その作品は本になるだろう。
根拠はありません。が、ふしぎと確信に近い思いがありました。

今回、『透明犬メイ』の原稿を投函したとき、今の自分にとって、納得できる作品が書けたと、安堵したのを覚えています。
その作品が大賞を受賞しました。
「気づいたら主人公たちと友達になっていた」
みなさんにとって、そんな本であれば、と思います。
たくさんの人に読んでいただけたら、うれしいです。


2016年8月
発売

 

佳作

『ママ・ロック』 橋口 さゆ希

【受賞の言葉】
毎日が忙しく執筆時間がとれないことを言い訳に、もっとゆとりができてから、上手になってからと、自分自身に縛りをかけてきました。それを解くには現状のまま、がむしゃらに書くだけでした。
そんな勢いだけで書き上げた未熟な作品を佳作に選んで頂けたことは、嬉しくも未だ信じられない思いです。
今のわたしをすくいあげ、書き続けるための「希望の鍵」を下さったことを心より感謝しております。
本当にありがとうございました。


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「福島正実記念SF童話賞」は今年で33回目を迎えた。応募原稿総数は、216篇だった。
例年と同じく、高齢の応募者が目立った。20代は数えるほどしかおらず、50代でも「若い」と思えるほど
だった。年齢を重ねた人生経験豊かな応募者ももちろん歓迎だが、今を生きる子どもたちに近い感覚を持つ若い方にも奮って挑戦していただきたい。

今年の特徴としては、SFと冠をつけているので当然といえば当然なのだが、いわゆるSFらしいSFが多かったことが挙げられる。
宇宙人、ロボット、透明な生物、タイムトラベル、タイムループなどである。SF豊作年といえよう。
SFで新しいパターンを創っていくのは難しいかもしれない。だからといって、デジャブ感のあるものも困る。ハッと驚く新味のある作品に出会いたい。

さて、第一次選考は、例年通りすべての作品を対象にして行われた。そして、次の16作品が通過した。

「星空タイムマシン」花里真希
「オトウト」すみのり
「MFラジオ ヒロシの時間」小林功治
「ママ・ロック」橋口さゆ希
「又造二十八号」南田幹太
「宇宙海賊と冠の王子」かめやひろ美
「ぼくたちのロケット」今井英輝
「消えた空き地」相川郁恵
「ぼくが勉強を始めた理由」西野真弓
「メロKと泣き虫透明人間」さと ようこ
「透明犬メイ」辻貴司
「四時間目のトリックスター」黒川裕子
「ひいひいおじいちゃんの埋蔵金?」小路すず
「ポペロゴドロンからの使者」村上雅郁
「ジルの冒険」森埜こみち
「なぞの転校生 デカイト」木内南緒

この16作品を対象に第二次選考を行った。前述のように「いかにもSF」な作品が多かったが、展開が安易だったり、ネタとして使いふるされたものだったり、大人目線だったりと、残念な要素がはっきりしていた。点数の上でも差がついた。

そして、以下の8作品が最終選考に残った。

「MFラジオ ヒロシの時間」小林功治
「ママ・ロック」橋口さゆ希
「又造二十八号」南田幹太
「ぼくが勉強を始めた理由」西野真弓
「透明犬メイ」辻貴司
「四時間目のトリックスター」黒川裕子
「ひいひいおじいちゃんの埋蔵金?」小路すず
「なぞの転校生 デカイト」木内南緒

「MFラジオ ヒロシの時間」 ラジオというメディアが今の子どもたちにとって身近なものかどうかが議論になったが、地域によっては「コミュニティラジオ」が生活のなかで大きな役割を果たしているらしい。
ヒロシという名の人や動物だけが聞けるラジオ番組の話で、のんびりしたトーン、いかにもそれらしいDJのせりふも好感が持てる。
しかし、いわゆる山場がなく、あっという間に問題も解決されてしまう。やや平凡で展開に迫力がない。温かみや安心感、終始優しい雰囲気にあふれていて、読後感もよかったので残念。

「ママ・ロック」 大人気アイテムのガチャポン。それをアイデアとして持ってきたのがいい。いわゆる「ある日、ふしぎなお店ができました……」パターンで、ネコが実は宇宙人だった、というオチにはややデジャブ感も持った。また、一読しただけでは「ママ・ロック」の使い方が理解できなかったという声もあり、課題点といえよう。
しかし、子どもをひきつけるアイテムを使う巧みさ、いきいきしたせりふ、主人公の悪戦苦闘ぶりのおもしろさなど、高い評価を受ける面もあった。

「又造二十八号」 いわゆるロボットものである。パターンとしては、よくある種類のものだが、話自体は楽しく読めた。好感度が高く、昭和テイストなほのぼのした雰囲気は悪くない。
がしかし、細かく読んでいくと、いろいろと不備もある。失職中のお父さんが実はエンジニアであるという設定が後から語られたり、名前しか出てこないクラスメートがいたり。せりふもだれのものなのかわかりづらい。
いい話で締めようとする意図も見えて、説明的になってしまった結末も残念だ。

「ぼくが勉強を始めた理由」 このお話もまさに「ある日、ふしぎなお店が…」パターン。未来からよこしまな意図を持った人が来て…というのも、応募作によくある。
一人称で語れないシーンのために一部だけ「神視点」になるのは、やはり違和感があった。徐々に自分が自分でなくなっていく、居場所がひとつずつ失われていくという描写はよく書けている。
しかし、この話は少しグレードが高く、中学年向きではない。福島賞が求めるのは小学校3、4年生向きの物語なので、そこは意識してもらいたい。

「透明犬メイ」 読者対象である小学校中学年にぴったり。キャラクターがよく立っており、全体的におもしろい。文章のテンポもいい。透明犬の透明さを表現する描写もいい。
一貫して子ども目線であり、主人公の気持ちがよくわかる書き方もいい。ただ、ネタ的に小さいのは気になる。内容が薄く、やや物足りないと感じる読者もいるのではないかという危惧はあるが、枚数的にはこれが限度かもしれない。

「四時間目のトリックスター」 いわゆるタイムループもので、映画にできそうなストーリーだ。小見出しもいちいちゾクゾク感があって、工夫されている。結末もよい。
一方で、この理屈が3、4年生の読者にわかるだろうかという疑問もわく。大人でも理解するのに注意深く読まねばならない。「学校から抜けられない話」は過去の応募作品にもあったが、実際、辻褄をわかりやすく合わせるのがとても難しい。

「ひいひいおじいちゃんの埋蔵金?」 タイムトラベルもの。戦争についても考えさせる良質な作品だが、せっかくの暗号が非常に単純。
主人公たちも埋蔵金を掘りにいくわけではなく、「その日」を待つだけだったのが物足りない。戦時中からタイムトラベルしてきたおじいさんが、のちに江戸時代に移動して、その姿が社会の教科書に載っているというアイデアはおもしろい。
だが、空襲時にタイムマシンがあるなら家族を助けなかったのはなぜか、など疑問点もある。

「なぞの転校生 デカイト」 有名作品を髣髴とさせるタイトルは、いただけない。タイトルも作品の一部であり、作者のセンスを判断されるところなので、よく考えてもらいたい。未来から人がくるというのもパターンとしてはよくあるものだが、物語は最後までおもしろく読んでいけた。
気になったのは、くだらないだじゃれが多かったこと。おもしろさは重要だが、児童書なのである程度の品は求められる。その点も工夫してほしい。

以上、最終選考会で各作品についての討議を重ねた。
最終的に「ママ・ロック」か「透明犬メイ」か、どちらを大賞にするかで議論になったが、対象学年向きであること、シンプルで楽しくわかりやすく読んでいけることが評価されて、大賞が「透明犬メイ」、佳作が「ママ・ロック」に決まった。

大賞 「透明犬メイ」 辻貴司
佳作 「ママ・ロック」 橋口さゆ希

2016年3月
福島正実記念SF童話賞選考委員会



選考委員の選評


選評 石崎洋司

今年は例年に比べて接戦だった。ただ「高いレベルでの接戦」というよりも、だれかがA評価をつけてもだれかがC評価にしているという、いわばどの作品にも「決定打」がないという意味の接戦である。実際、大賞作品と佳作作品は同点で、私の場合、大賞作品にはC評価、佳作作品にはA評価をつけている。
ほかにも評価の割れた作品が多かった。私が高評価を与えた作品にしぼると、

「MFラジオ ヒロシの時間」
動物のおたよりが地域のFMラジオで放送されるという、この賞には珍しくほのぼのとしたタイプの作品。このほのぼのさは、他の選考委員にはマイナスだったようだが、もし、もっともっと徹底してほのぼのした作品なら、選考の席上で、私は作者に代わってこの作品の良さを力説していただろう。

「又造二十八号」
安いアンドロイドが年寄りのロボットだったというネタは特別新しくもないが、話としては十分面白かったので意外な低評価には正直驚いた。もっと「又造」のキャラを強くして、主人公を含めた家族とのやりとりを大げさにすれば、魅力が増しただろう。

「なぞの転校生 デカイト」
これも私はA評価だったが全体の評価は低かった。が、ちょっとした小ネタに、小学校中学年の子どもにとって非常にリアリティのあるものを使える点など、「ママロック」の作者同様、デビューにいちばん近い方だと思う。

大賞と佳作を最終的に分けたのは、文章面を含めた「完成度」で、その結果に私も依存はない。が、個人的な考えでは、新人発掘が目的の児童文学・童話の賞では、文章やストーリーのまとめ方の巧みさよりも、「フック」の強さ=子ども読者を共感させるネタの強さが、重視されるべきだと思う。というか、応募者にはそこをセールスポイントにして欲しいのだ。次回から選考が隔年になる。
「完成度は低く、文章も荒削りだが、この面白さは捨てがたく、将来を期待させるものがある」のような選評を得られるような作品を、2年かけて考え、応募していただきたいと思う。

選評 後藤みわこ

この応募作は落とそうか、残そうか。
一次、二次選考の段階から、「こんなに迷う年は、これまであまりなかったなぁと思っていました。
SFらしいアイデアの作品が増えてきたことがうれしい反面、「SFっていうと、これしかないと思われているのかなぁ」とパターン化にがっかりもしました。「似た話、さっきも読まなかった?」と候補作の山をひっくり返して確かめることもありました。
当然、最終候補作も、どれも「けっこうおもしろくて」「そこそこうまい」のです。いいかえれば「すごくいいね!」といえる飛びぬけた応募作がなかったわけで、最後の最後まで話し合う選考会になりました。

魅力があるのに推しきれなかった作品について、少しずつ書いてみますね。

まず、「MFラジオ・ヒロシの時間」。アイデアも独特で雰囲気もいいのに、山場が山場らしくなくて、もったいないです。
「又造二十八号」は泣けるお話でした。でも、必要な説明や張ってほしい伏線がないなど、技術的不備も目につきました。
同じく「ぼくが勉強を始めた理由」もおもしろいのですが、技術的なこと、特に「視点」を扱いきれていないのが気になります。
「四時間目のトリックスター」は雰囲気があってひりひりと怖い……ただ、小学校中学年の子に理解できるだろうか、と案じました。
「ひいひいおじいちゃんの埋蔵金?」は好感度は高いのに、主人公が動かない……自力で埋蔵金を探さないのが惜しいです。
「なぞの転校生 デカイト」はキャラクターの好感度も高いのですが、『未来人との友情』は一種のパターンで既視感があります。

わたしは、みなさんの「次の作品」が楽しみです。ここまで書ける方なら、次回は受賞されるかもしれません。締め切りは来年9月です。新鮮なアイデアを見つけ、練りに練って挑戦してください。

選評 廣田衣世

一次選考から読ませて頂き、例年に比べて、今年はSF色の濃い作品が多かったように思いました。
ロボット、UFO、宇宙人、タイムスリップ、パラレルワールド等々。
中でも、地球征服をもくろんでやって来た異星人が、地球人の素晴らしさを知って感動し、あっさり征服するのをやめて自分の星に帰って行く……といったストーリーが何編かあり、どれも同じような展開で驚きました。宇宙人モノは、どうしてもパターン化してしまいがちなのでしょうか。新たな切り口を期待したいと思います。

大賞の「透明犬メイ」は、小学校中学年の読者年齢にぴったりのやさしい文章で、最初から最後まで安心して読み進められました。主人公の登校時、透明な犬がハァハァ嬉しそうについてくるという斬新な発想がユニーク。見えないはずの犬の姿を巧みに表現し、読者の想像力を大いにかきたててくれます。
学校でのドタバタ劇も楽しく、ラストのおさめ方も、かわいらしくて温か味あふれています。「透明な犬と出会う」というだけの、内容的にはやや物足りない部分もありますが、終始子ども目線でほのぼのと描かれており、とても好印象な作品でした。

佳作の「ママロック」は、タイトルもアイディアも面白く、軽快なテンポの文章に引きつけられます。ガチャポンという子どもに人気の小道具を上手く使い、早くロックしたいのに、セットするカギがそろわず、なかなかロックできない展開にワクワク感をそそられます。最後はいわゆる宇宙人オチなのですが、地球人の子どもの日常を観察するためにガチャポンを置いた、という理由付けが弱く、どこか中途半端な感じが残りました。一読しただけでは内容が分かりにくい所もいくつかあり、三・四年生が容易に理解できる書き方が必要なのではと思いました。

惜しくも入賞には至りませんでしたが、「MFラジオ ヒロシの時間」は、昭和テイストたっぷりで、随所にクスリと笑えるツボもおさえてあり、ほっこりとした読後感を味わえる楽しいお話でした。
「四時間目のトリックスター」は、ホラータッチの不気味な世界を表した作品で、動作やセリフのひとつひとつからもゾワゾワ感が伝わり、とても読み応えがありました。ただ、少々ゲーム的な印象があったのと、文章が高学年向きで、子どもの読み物としては難しかったのが残念でした。

選評 南山 宏

例年、最終選考まで残るのはおおむね5作か6作だが、今回はそれなりに高評点を競う作品が8点も駒を並べた。これはひょっとすると議論が沸騰して選考が難航するかもと、うれしい悲鳴めいた危惧も感じたが、実際には意外に順調に選考が進んで、最終的に甲乙つけがたい2作品が残り、それぞれが大賞作と佳作に決まった。

大賞作『透明犬メイ』は、「やっぱり、ついてきてる/ぼくは何度も何度も後ろをふり返った/そこには、なにもいない」で始まる冒頭のツカミがいい。描写が巧みで的確なので、読む者を一気に作品世界の中に引きずり込んでくれる。
ついてくる気配や息づかいや足音から大型の犬とわかり、最初は化け物かと恐怖におののくが、田んぼの泥にまみれて部分的に見えたりボール遊びに興じたりするうちに、しだいに絆が強まって離れがたい仲になっていくあたり、犬好きならもちろんだが、そうでなくても心に素直に迫ってくる。
書き方しだいではこの三分の一の長さでもすみそうなシンプルな寓話風童話だが、ストーリーテリングもキャラクター描写も神経がよく行きとどき、それを支える文章力も文体もすでにプロ並みのレベルだ。なぜ「ぼく」が「ほんとうの飼い主」として「今朝」出会ったのか、最後に謎のすべてが判明するエンディングも堂に入っていて、文句なく大賞受賞の資格がある。

佳作『ママ・ロック』は、子供に大人気のカプセルトイ自販機(ガチャポンとかガチャガチャとかいうあれ)
から、子供の日頃の願望や空想を叶えてくれる不思議なオモチャ(機械?)が飛び出してくる、という奇抜なアイデアがおもしろい。
主人公の「ぼく」が、口うるさいママにロックをかけて優しいママに変えてしまう「ママ・ロック」にどうしても必要な超レアなカギを手に入れようと、ガチャポン代稼ぎに必死になって宿題や片づけやお手伝いをすることで、結果的にヨイコになってしまう皮肉な展開が、終始子供目線の一人称でテンポよく描かれる。
ネコ型宇宙人が人間観察の目的でこっそりガチャポンを設置していた、というやや既視感のある宇宙人オチがもう少し新味のある終わり方に工夫されていたら、もっと高く評価できただろう。

選評 島岡理恵子(岩崎書店)

今回、最終選考に残った作品とそうでなかった作品との差が大きく、逆に残った作品についてはいずれかの作品が突出しているという印象ではなかった。似たようなテーマが重なってしまうと、また同じものという印象になってしまうので、そのあたりは毎年の課題になっている。
それぞれに良いところと残念なところがあって、そういう意味では最終的には2作品に絞られたが、それ以外の作品も印象に残るものはあった。

「MFラジオの時間」については、自分が子どものころには聞いたりしたが、今でもFM放送などを聞くのか不思議だったが、選考委員の先生から、地域のコミュニティ放送は子どもにも身近なものであるので、地域によってはとても親しみのあるものだと知ることができた。同じ名前の人しか聞けない不思議な放送。地域との密接感などいいものも持っているが細かいところに突っ込み要素があったのが残念。
「四時間目のトリックスター」は同じ時間を繰り返すというループもので、ミステリアスな雰囲気をかもし出し印象に残った。ただ、最初の流れがわかりにくく、何度か読み返さなくてはならないのが惜しいし、少しグレードが高い気がした。

佳作となった「ママロック」は、ある程度予想をして読み進めていったがいい意味で予想が裏切られて、その点が新鮮だった。不思議な人イコール宇宙人という単純さがもったいないところ。
大賞となった「透明犬メイ」は犬を飼いたかった主人公がある朝透明な犬と出会い、学校までついてきて、ひと騒動が起きる。実はこれから出会う子犬の未来系だった。枚数的なところで、ここまでなのかもしれないが、もう少し山場というか盛り上がりがほしい。透明犬の謎がもっとあってもよかったのではないか。シンプルさがこの学年ならではかもしれないがこれからの成長を期待したい。ある意味児童文学らしい作品だったと思う。


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選考経過

大賞 「おばけ道工事中」 草野あきこ
佳作 「サンシチ、しあわせのペット」 吉田桃子

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受賞の言葉

大賞

 

『おばけ道工事中』 草野あきこ

【受賞の言葉】
小学生の頃、日記を担任の先生に褒められてから、自分は文章を書くのに向いている、と思い込んでいました。
数十年たち、ようやく公募に挑戦してみて気づいたのは、入賞の常連さんの多さと自分の才能のなさです。
しぼみかけた心に、後藤みわこ先生の「大賞です」の言葉が、新たに息を吹き込んで下さいました。感激のあまり電話口で泣き、「大賞ですか?」と聞き返してしまいました。
夢のような賞を頂けて、心より感謝しております。
おばけ道、ただいま工事中!?

 

佳作

『サンシチ、しあわせのペット』 吉田桃子

【受賞の言葉】
子どもの頃に読んで強く心に残った本のひとつに「ぼくのじしんえにっき」があります。当時の私は、大人になった自分が福島で東日本大震災にあうとは考えもしませんでした。しかし、途方にくれる私の心の中で希望の光となってくれたのも、この本に書かれていたことでした。
思い出の本を生んだ福島正実記念SF童話賞で、このたび佳作に選んでいただき、とても嬉しく思っています。ありがとうございました!


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第32回を迎える福島正実記念SF童話賞に、今年は225篇の応募があった。昨年と同数の歴代5位の総数となる。
毎年のことだが、高齢の方のご応募が多い。60代が「若い」と思えるほどだ。もちろん円熟期を迎えた方々からの人生の示唆にとんだ物語をお送りいただけるのはありがたいが、勢いのある若い世代の、荒削りでも見たことのない世界を描いたお話も期待したいと思う。
今年の傾向としては、宇宙人ものやパラレルワールドを扱った物語がわりと多かった。
なかには毎年少しずつ改良を加えた同じ作品を送ってくる方がいらっしゃるが、これは「新人賞」、受賞すれば作家デビューが約束されているのだ。新作を次々と書いていける力があるかどうかも、今後の作家人生を左右する。大賞受賞が「人生の記念」に終わらないためにも、「その先」を見据えて書くことに励んでほしい。

第一次選考を通過したのは以下の16篇だった。

 「サンシチ、しあわせのペット」 吉田桃子
 「昔ウィルス」 村上ときみ
 「おばあちゃんとロボットビーグル」 野田ゆり子
 「あたしがふたり!?」 藍沢羽衣
 「鏡、旅にでる」 緒方明美
 「ゾンビ予報」 太月よう
 「ぼくは宇宙人」 竹内弘子
 「ばあいの国」 神山小恵子
 「ぞくぞくじゃんけん」 辻 貴司
 「お化けのなやみ聞きます!」 深山まき
 「おばけ道工事中」 草野あきこ
 「なんとかなるさのご先祖さま」 うちだちえ
 「もよもよハンター斉藤」 いくらまさき
 「暑い夏は、むしむし虫」 遠山裕子
 「シロタマを追いかけて」 宇都木ちはる
 「ボンド?ボンド!ボンド☆」 高木剛

賞の冠にふさわしい宇宙人もの、パラレルワールドの作品もあったが、いささか消化不良で終わって
しまっていた。難しい理屈をどうやって小学校中学年の子どもたちに伝えていくのか、
力が問われるところである。文章表現、構成も含めて、「この作品を読むのはだれか」を意識してほしい。
もしそれがどうしてもフィットしないのであれば、別の賞に応募したほうが無駄がない。また、タイトルのおもしろさと中身のギャップを指摘する声もあった。「読ませる」入り口としてタイトルは重要で、そこでひきつけた期待を最後まで持続させる力も問われている。

最終選考に残ったのは、次の6作品である。

 「サンシチ、しあわせのペット」 吉田桃子
 「ぼくは宇宙人」 竹内弘子
 「ぞくぞくじゃんけん」 辻 貴司
 「おばけ道工事中」 草野あきこ
 「暑い夏は、むしむし虫」 遠山裕子
 「ボンド?ボンド!ボンド☆」 高木剛

「サンシチ、しあわせのペット」 やや高学年向きの表現もあるが、文章がうまく、読ませる力がある。好感度の持てる話だが、ほのぼの一辺倒ではなく、両親が離婚して母子家庭で育つ主人公の心の推移、リアルないじめなどもたくみに描かれている。ただ、「青い鳥」「ふしぎなお店に行ってみたら……」「女子のいじめ」など、ややパターン化された設定であることは確か。もう少し新味がほしい。「サンシチ」の名前の由来もはっきりしていないのは残念。

「ぼくは宇宙人」 導入はうまく引きつけるが、話が進むにつれて、道徳的、教条主義的になってしまった。主人公が実は宇宙人だったからなのか、言葉自体の小四の子とは思えない硬さも気になる。設定自体はおもしろいので、残念。地球人のすばらしさを避難所で見つけるなども無理がある。全体的に理屈っぽい。もっと子どもが共感し、自然に読んでいけるものにしてほしい。

「ぞくぞくじゃんけん」 一読しただけでは内容がすんなり入ってこないのは致命的。ただ、話の運び方はおもしろく、スピード感もあり、軽快。「心の声が漏れていた」というノリもいい。しかし、終始作者目線。作者の中では整合性がついているかもしれないが、読者の理解を超えていることが多い。
パターンを踏むなら堂々と踏んで、中身で新しさ、おもしろさ、オリジナリティを出せればよかった。

「おばけ道工事中」 人間が化けて出るのは「幽霊」であって「おばけ」ではないのでは? という指摘があったが、かつて柳田國男がその区別を記したのはそれだけ混乱しがちだから、ということで実際は混じっていてもいいという見解になった。妖怪も通過していれば、おばけ道でもかまわないのかもしれない。SF的要素がないのはネックだが、広い範囲でいえばこれも含まれる類といえる。文章がやさしく、読みやすい。時間経過の描写もたくみ。王道な話だが、書きすぎず、うまい。泣かせるオチだが、パターンといわせない何かがある。

「暑い夏は、むしむし虫」 イモムシの姿をした宇宙人。イモムシならば変態するはずで、そこに期待を持たせるわりにふつうだったのが残念。全体的に破綻はないが、新鮮味がない。書き慣れた文章というのは、時に古く思われてしまうので気をつけたい。また、偶然であろうが、かつての福島賞、ジュニア冒険小説大賞作品に登場するモチーフがいくつか使われているのは惜しい。タイトルと中身が全く一致しないのにも首をひねった。タイトルから文章の末尾まで気を遣ってもらいたい。

「ボンド?ボンド!ボンド☆」 通販で誤配があり、交換品が送られてきたら、三種類のふしぎなボンドだった……というこの作品は、最終選考会の席上で約十年前にも最終選考に残った作品だということが判明した。何箇所か修正されて送られてきているが、「同じもの」といっていい。電話で注文する通販、時限爆弾など古さを感じさせる点はそのままになっている。楽しい作品なので今回も最終に残ったのだろう。冒頭にも書いたが、次回はぜひ新作で楽しませてほしい。

今年の最終候補作品のなかで好印象だったのは、「おばけ道工事中」。対象学年向きなわかりやすさ、親近感もある。ということで、満場一致でこの作品が大賞となることが決まった。
また、佳作には「サンシチ、しあわせのペット」となることがこれもまた満場一致で決まった。リアルな部分も含みながら、好感度は高く、読ませきる力がある。今後もますます精進してほしい。

受賞作品は次のとおりである。

大賞 「おばけ道工事中」 草野あきこ
佳作 「サンシチ、しあわせのペット」 吉田桃子

2015年3月
福島正実記念SF童話賞選考委員会

選考委員の選評


選評 石崎洋司

おそらく現代の日本の児童図書の世界で、「SF」という冠をつけた童話賞は、本賞だけである。「SF」自体はいうまでもなく、文芸ジャンルのひとつとして確立されているし、またその定義も、とても一つには決められないほど多様な作品が長い年月をかけて世に送り出されてきた。が、これに「童話」がつくとどうなるのか。正直、私自身にもよくわからないのだが、ただ、少なくとも「日常」に破れ目ができて、作中人物にも、作者自身にも、どうにもならないような広がりを見せてくれるものでなければ「SF童話」とはいえないのではないか、そんな気がしている。

そんな点から考えると、今回、最終選考に残った作品どれにも、私は満足することができなかった。たとえば「ぼくは宇宙人」。宇宙人側からの視点で書かれたこの作品には、前半こそ「新しさ」を感じた。何か、思いも寄らない世界が広がるのではないか、そんな期待も抱いた。が、後半はその正反対だった。
まるで道徳の教科書のような、お行儀のよい世界観を作者が語って終わってしまうのだ。「暑い夏はむしむし虫」も宇宙人もので、文章も構成も実にきちんとしているが、中身は古い童話、それも私が子どものころに読んだお話のような古さで、おさまってしまう。たまたま題材が宇宙人、というだけのことである。

童話であるから、起承転結があり、後味もさわやかなものであってほしいが、それでも「SF」という冠がついている以上、読者を驚かせ、目を見開かせるようなシーンを繰り広げる、少なくともそういう工夫をする努力は、最低限してほしい。

そういう意味では大賞の「おばけ道工事中」は、主人公の背後に走る、あの世への道をときおり幽霊が通り過ぎるシーンなどに、おもしろみと新しさがあった。話の運びも巧みで、大賞を授与することに異論はない。だが、それでも、私個人としてはSF的な要素が足りないことに、危惧を感じてはいる。別に狭い意味での「空想科学」的な要素を加えろといっているわけではない。ただ、驚かせては欲しい。おもしろくて、楽しい話を上手に書けばいいのなら、ほかに童話賞はいくらもある。
わざわざ「SF童話」の賞に応募する以上は、自分にとっての「SF」を、うんうんうなって見つけてほしい。

選評 後藤みわこ

一次選考の時点から、「児童文学の勉強」って何だろう……と考えさせられました。

長く勉強している方の作品は、読むとわかります。文章や構成が安定しているからです。破綻がないので、一次、二次……と選考を通ってきます。

が、大賞を獲るとは限りません。

今回も、一読して以来「これが大賞かも」と期待した高得点の作品が、最終選考会で意見を交わすうちに選外になってしまいました。

この現象はほぼ毎年起きますから、「わたしの方がたくさん書いてきたのに」「教室でも評判がいいのに」と、結果を見て悔しい思いをされた応募者さんも多いでしょう。

書き続ける努力は素晴らしいです。でも、長く勉強してきた人に染み込んだ「書き慣れ感」はキケンかもしれません。今後何を書いてもこんな感じなのでは? と思わせてしまうから。新人作家としての、いわゆる「伸びしろ」の有無を疑わせてしまうからです。

創作の勉強をしながら新人賞への挑戦を続けてきた真面目で熱心な人ほどデビューから遠ざかるなんて……理不尽ですよね。けれど、(多少の傷はあっても)新鮮な作品にかなわない場合は本当に多いのです。

「じゃあ、どうすればいい?」

わたしにもわかりません。創作の勉強があなたのデビューのために有効ではないのなら、教室や合評会をお休みしてみますか?

それもいいかもしれないですね。どのみち、デビューしたら「ひとり」です。目を向ける相手は読者。仕事のパートナーは編集者。先生や仲間の意見を聞きながら書くことはできませんから。

ひとりになり、初心に帰って、好きな物語(児童文学ではないかもしれませんよ)を自由に書いてみてはいかがでしょうか。

書くことそのものが楽しく思えない、ひとりでいることがつらくてたまらない、そんな人はたぶんプロ作家に向きません。

選評 廣田衣世

今回の応募総数は225編。第一次選考から読んでいくのですが、「応募先を間違えているのでは?」という作品が毎年必ずあります。テーマがSFとは全くかけはなれている、漢字を多用したり、表現が大人向けで難解すぎる、明らかに枚数オーバー等々。応募規定を守るのはもちろん、過去の大賞受賞作もよく読み、ターゲットである読者年齢をきちんと意識して書くということが大切なのだと思います。

大賞の「おばけ道工事中」は、自分の部屋に突然「おばけ道」が通ることになった少年の不思議なお話。やさしい文章でとても読みやすく、伏線の張り方も巧妙です。おばけの世界で使えるクーポンが、ややご都合主義な感じはありますが、ストーリーの小道具として、上手く使われています。おばけ協会も面白い。おばけ道案内役のサトが主人公の友人の妹として生まれ変わる、というラストの展開は、読んでいて「多分そうなるだろうな」と予想できてしまい、「よくあるパターン」で終わりそうなのですが、それでもホロリと泣けてしまうのは、それまでのところで確実に読者の心を引きずり込み、深く感情移入させている証拠なのだと思いました。

佳作の「サンシチ、しあわせのペット」は、青い鳥と悪魔のコウモリのハーフという、不気味な鳥を手に入れた少女の物語。学校でのいじめや、両親の離婚によって激しく揺れ動く彼女の心情、葛藤が、サンシチの体の変化とリンクし、巧みに描かれています。些細な事から発生するいじめの様子なども、とてもリアル。家を出て行った父親が、最後には彼女の元に戻って来るのかと思いきや、これからも母親と二人でがんばる、という力強いラストも好感が持てました。ただ、タイトルにもなっているのに、「サンシチ」というワードが中途半端なままで、もう少し突っ込んで欲しかったかな、というのと、主人公の言動が小4にしては少し大人すぎるのが気になりました。

今回は、タイトルとストーリーがうまくかみ合っていない作品が多かったような印象を持ちました。「サンシチ、しあわせのペット」もそうですが、「暑い夏は、むしむし虫」、「ぞくぞくじゃんけん」などもそうです。読み終えた時、その内容とタイトルがしっくりこない作品は、どうしても消化不良な感じが残ってしまいます。

選評 南山 宏

福島賞作『おばけ道工事中』は、「生者には見えないが死者があの世に行くとき通る『おばけ道』が世界中に通っている」というユニークな発想が秀逸。その道の修復工事の期間だけ、主人公の少年の部屋の片隅に臨時の回り道を通させてほしいと、枕辺に立って懇願するユーレイ少女――舞台設定はホラー風ながら、展開される物語はコメディタッチの人情話。それを軽妙に読ませる文章力もオーバーすぎずふざけすぎず、基本的には死者の話なのにオチがめでたしめでたしで終わるので読後感もいい。

私の世代はお化けと幽霊を区別することが多いので、その点だけ多少気になったが、若い世代ほどお化けも幽霊も妖怪も似たような空想上の化け物と見なすようなので、対象年齢の小学生読者は違和感なく、楽しんでくれるだろう。

佳作『サンシチ、しあわせのペット』は、「幸運の青い鳥と悪魔の使いのコウモリとの禁断の恋」から生まれたハイブリッド鳥と、幸運を願って飼い主になったのはいいが案に相違して不運続きに見舞われる少女の、それでも挫けずママを助けて元気に成長していく物語。お伽話の幻想的世界と母子家庭や学校生活の現実的世界とを無理なく融合させたところに、作者の力量を感じる。

ほかの四作品は残念ながら完成度の点で受賞作に及ばなかったが、そのうち『ボンド?ボンド!ボンド☆』についてひとこと申し上げたいことがある。

じつはこの作品は同題・同内容で第18回福島賞に応募し、最終選考まで残った旧作の改訂版である。応募規定はべつに改作での再応募を禁じていないし、実際、過去に前例が何度もあり、今回も一次予選の段階で落ちた別の例がある。旧作は直接参照のしようがないので、もちろん推測の域を出ないが、当然キャラの描写や物語の展開には改善の工夫が施されているだろう。(最年長の私をのぞき)メンバーが一新された選考委員会による公平な審査の結果、再び最終選考まで残ったのだから、作品としてはそれなりのレベルまで達していることはまちがいないが、13年の懸隔があるとはいえ、事実上同一に近い作品で応募するのはいかがなものか。

作者がこの作品にそれほど自信と愛着があることは理解できるし、プロ作家が過去の自作を改稿して再発表することはままある。だが、この作者はまだデビュー前であり、そのデビューを目指して新人賞に応募したのだから、同じ執念と情熱を完全な新作のほうに振り向けてほしかった。作者にはぜひとも今後の一層の精進を期待したい。

選評 島岡理恵子(岩崎書店)

今年の最終選考会は例年になく、すんなりと短時間で決まりました。それだけ審査員の先生方の意見がほぼ同じだったので、議論が紛糾するということにはなりませんでした。

二次選考に残らなかった作品には、残念ながらそれだけの理由があります。タイトルがおもしろくても、実際読んでみたら、期待はずれであったり、構成が破綻していたり、このくらいの枚数のわりに構成が
複雑になりすぎたり、全体的な印象では、宇宙人ネタが多い印象でした。SFだから宇宙人になってしまうのは、単純すぎますし、既視感が強くなります。SFという要素を宇宙だけでなく、もっと広い視野から考えてみてはいかがでしょうか?

最終選考の中で印象的だった作品は大賞に選ばれた「おばけ道工事中」でした。一週間だけ自分の部屋をおばけが通るということで、特別なクーポンまで出てきて、さまざまな人間とかかわるのですが、最後にはほろりとさせます。

それだけ読む者に共感をもたらしているわけで、文章力、ストーリー構成なども上手にまとまっていました。

全員一致でこの作品が大賞に決まり、佳作のほうも「サンシチ、しあわせのペット」に決まりました。

書店に行くと、ますます児童書売り場は縮小傾向にあります。特に読み物については、夏休みのすいせん図書以外は定番のものしか置かれていないのが現状です。新人の方には過去の実績がないだけに取次も書店もとてもシビアです。そういう中でいかに書店に置いてもらうか。非常に厳しい現実は確かにあります。それでも作品を書いていくならば、相当な覚悟で取り組んでいただきたいと思います。有名な作家さんでもだれもがはじめの一冊目がありました。読み物はなかなか厳しいと言われて久しいですが、一方で子どもたちが大好きなシリーズも生まれています。そんな作品が生まれることを私たちも願っています。


これまでの受賞作はこちら

福島正実記念SF童話賞は、1983年、児童向けのSFエンターテインメント作品を書ける新人作家の発掘を目的として、少年文芸作家クラブ(創作集団プロミネンスの前身)と岩崎書店が、SF童話の懸賞募集として設立したものです。

日本のSF界育成に多大な貢献をし、児童向けSFの翻訳家・作家としても活躍しながら1976年に47歳で早世した元早川書房SFマガジン編集長福島正実氏の名を冠したのは、少年文芸作家クラブを結成し子ども向けSFエンターテインメントの隆盛を願った福島氏の思いを継承してのものでした。

当初は大賞に相応しい作品の得られない年度もありましたが、大賞作が単行本として出版され課題図書やベストセラーが生まれるにつれて応募数も増え、次第に児童文学作家をめざす新人の登竜門のひとつとなっていきました。

その後、小説・映画・コミック・ゲームの世界での広がりとともにSFのジャンルとしての境界が曖昧になってきたため、第16回以降の募集ジャンルは、SFに限ることなくSF的な諸ジャンルにまで広げられています。

先輩からのメッセージ|服部千春(第19回大賞受賞)

私が福島正実記念SF童話賞(福島賞)をいただいたのは、2002年、第19回のときです。実はその前年の18回には佳作になっています。そのとき佳作の副賞は、賞から出版された既刊の本が20冊でした。実際これがとても参考になり、翌年の大賞に結びついたのだと思っています。大賞受賞の連絡を受けたときの嬉しさは忘れられません。正に狂喜乱舞、部屋中跳び回りましたもん。

福島賞の大賞作品は、必ず出版され書店に並びます。並み居る有名作家さんの作品に交じってです。それだけの出版に値する作品であることが求められるわけです。中学年以上の子どもたちが喜んで手にする娯楽性の強いSF童話作品。これはなかなかにハードルの高いものだと思います。自分の作品がそれに相応しいかなんて、全く自信がありません。

けれども福島賞をきっかけに児童文学作家としてヨチヨチ歩き始めたことだけは確かです。作品次第、本人の情熱次第で、道は開かれます。あきらめないこと、明るく前向きであること、それが大事です。今は改めて福島賞出身である喜びをかみしめている私です。

<プロフィール>
福島賞受賞作品の『グッバイ! グランパ』(岩崎書店)が単独出版第一作。その後は「四年一組ミラクル教室」シリーズ、『卒業うどん』(講談社)。共著作品は「平成うわさの怪談」「初恋コレクション」「動物だいすき」各シリーズ(岩崎書店)など十数冊。京都市在住で家族五人分の家事をこなしながら創作を続けている。

 第31回選考経過 - 2014.12.25

第31回を迎える福島正実記念SF童話賞に、今年は225篇、応募があった。歴代5位の総数となる。ここ数年、安定した数のご応募をいただいているのは、非常にありがたい。
しかし、毎年のように書いているが、応募者全体の高年齢化が今年も顕著であった。開封するごとに、65歳以上の方ばかりで、たまに50代の方が出てくると「若い」と思うほどだった。
児童文学でなく、一般文芸の応募者、受賞者も最近は高年齢層が目立つ。人生の円熟期を迎えた方々が落ち着いた心境で筆を執ってみたいと思われるのか、若い世代が生活するのに精一杯で物語に向かえないのか、いろいろな事情はあると思われるが、ともかく応募者には福島賞のグレード(対象学年)、内容にふさわしい応募作品を期待したい。過去の受賞作品を読むことはもちろんだが、それを読んでなお、「これぞ」という新しい作品を書いていただきたい。新人賞を長い間主催してきた意義をそこに置いている。

第一次選考を通過したのは以下の16篇だった。

 「ぶんしんガム」 定金千佳
 「そう音発電機」 成瀬 晶
 「まもれ にじいろ商店街」 大枝 葉
 「12月32日」 尾崎 光
 「まほうのスプーンはあげないよ!」 土舘 恵
 「幽霊なのに、なんでやねん!」 あいのすけ
 「ブルームーンにだかれて」 竹内弘子
 「ブッキルボー一家の地球人なりきり旅行」 ふたみさき
 「鳥のうかぶ空」 水凪紅美子
 「じだらくなぼくのジダラク」 春間美幸
 「何者? 便利屋のおじさん」 相川郁子
 「ぼくらは、ホシになっていく」 尾崎 潤
 「天才えんぴつ」 畠山真佐子
 「お下がりランドセルのまど」 やまおか・いつき
 「新郷小のふしぎ図書館」 ちえちひろ
 「ぼくの一番星」 白矢三恵

賞の冠に「SF」がついているが、SFらしいSFが最後まで残らないのが毎年残念なところである。「パラレルワールド」を要素として出してきた作品もあったが、やや消化不良だった。近年、大人のSFに力があるものが出てきているので、これが子どもの世界にもいい影響を与えていくことを期待したい。
ほかには、よけいなおしゃべりが多かったり、枚数の関係で尻切れトンボだったものもあった。限られた枚数のなかで独自の世界をきちんと描ききれるように精進していただきたい。

最終選考に残ったのは、次の6作品である。

 「まもれ にじいろ商店街」 大枝 葉
 「幽霊なのに、なんでやねん!」 あいのすけ
 「じだらくなぼくのジダラク」 春間美幸
 「天才えんぴつ」 畠山真佐子
 「お下がりランドセルのまど」 やまおか・いつき
 「ぼくの一番星」 白矢三恵

「まもれ にじいろ商店街」 大枝 葉 設定、ネーミング、「ギャング」の二人組、「ズッコケ」、兄貴…もろもろ、すべての要素が古すぎる。地元から愛される商店街が地上げの危機にさらされているが、今回の手法である「脅迫」で立ち退かせるのは明らかに違法。また、現在において、商店街で困っているのは地上げではない、むしろシャッター商店街。だったら、お店の人がみんな宇宙人だったとか、突飛な発想をしてもよかっただろう。タイムマシンなど、一応SF設定にはなっているので惜しい。まじめに考えすぎているふうにも見える。もっと遊んで楽しんで書いてもらえたらよかったのかもしれない。

「幽霊なのに、なんでやねん!」あいのすけ 作者の居住地は関西ではないが、登場するのは流暢な関西弁である。漫才もの、病気ものの児童文学は既に多数あり、新味が出せるかが勝負だったが、突き抜けたところはない。最後にひとりで漫才をする場面などは泣かせどころだが、新しいわけではない。主人公のお母さんは変人でおもしろい。対照的なお母さんが出てくるところもよかった。ただ、まだまだ原稿の書き方そのものがたどたどしく、慣れていない感じが目立った。今後の精進を期待したい。

「じだらくなぼくのジダラク」 春間美幸 大人なら吹き出す箇所がいくつかあっても、子どもにとっては理解が難しいのではないか。まずタイトルからしても、「自堕落」は大人でもふだん使う言葉ではない。文字遊び、言葉遊びが子どもは本来大好きで、非常に古典的なものを好む傾向がある。だじゃれの方向に落としていけばよかったのかもしれない。文章は丁寧で読みやすく、ラストもさわやか。似たようなテーマが多かったなかで、新味を伴う作品としては惜しかった。「言葉遊び」するならもっと徹底する、また、文字の大切さ、美しい文字とは何か、が出ているとよかった。

「天才えんぴつ」 畠山真佐子 ある日知らない店ができていて、不思議なものを買って、最初はうまくいって…というのは創作のパターンのひとつではあるが、ありがちなきっかけとは裏腹に、独特のはちゃめちゃさがあった。通常、後ろめたいことなら一生懸命隠すのに、それをせず、結果的にあっという間に広がるところなどだ。書き慣れていて、コンパクトにうまくまとまっている。決定的な欠損はないが、既視感があるのが残念だった。

「お下がりランドセルのまど」 やまおか・いつき タブレットとランドセルの窓をどうやって連動させたのかが「?」だった。いつも先を読めるお姉さんの謎も明らかにされず、ここまで弟を助けたがる理由も最後までわからない。いわゆる「ランドセルもの」は、ぐっとさせるものがあるが、いろんなところに無理があったのが残念。やはりお姉さんが主人公を応援する理由がほしい。彼女が小学生時代のものを残している意味があればよかったのかもしれない。結果的に、表現として、作者がいいたかったことがそれほど伝わらなかった。

「ぼくの一番星」 白矢三恵 人間のライバル同士は、流れ星もライバル。そして、尊敬しあい、対決しようとしている。二重構造になっているところがよく考えられている。全体的にまとまっており、児童文学らしい作品。「あきらめずに頑張る」「団結心」「好きという気持ちがいちばんの才能」など道徳的な価値観が盛り込まれているところに既視感を覚えるが、くりかえし子どもたちに伝えていくのも児童文学の意義であり、これらも大事な要素だろう。文章を書き、まとめていく能力は非常に高く、最初に出てくる猫を伏線として最後に回収しているところなど、技術もある。

今年の最終候補作品は、強烈に新しさが目立つものはなかった。そのなかで、「ぼくの一番星」は、主人公の願いを叶える流れ星が現れて、ライバルにもまたライバルの星がつく、という設定は斬新だったといえる。文章がまとまっているのも評価に値する。よって、「ぼくの一番星」を満場一致で大賞とすることになった。また、作品のはちゃめちゃさを買いたい「天才えんぴつ」を佳作とすることも、これも満場一致で決定した。次はぜひはちゃめちゃ度を進化させながら、設定自体は新味のある作品で挑戦していただきたい。

受賞作品は次のとおりである。

大賞 「ぼくの一番星」 白矢三恵
佳作 「天才えんぴつ」 畠山真佐子

2014年3月
福島正実記念SF童話賞選考委員会

選考委員の選評


選評 石崎洋司

最終選考に残った6作品は、いずれも「読ませる」という点では、一定のレベルに達していたと思う。が、それは、アマチュアとしては「上手に」書けているという意味。大賞作品は商業出版される、つまりプロデビューにつながるという前提に立てば、「上手」以上の「何か」が必要とされる。その「何か」には、いろいろな意味があると思うが、個人的には、なんといっても「パンチ力」、あるいは「強いフック」だろうと思う。その点から、各作品をかんたんに評価してみたい。

『まもれ にじいろ商店街』は、良質な童話である。が、それが大きな欠点でもある。文章が上手なことが、かえって、あまりにも無難な設定、展開の安易さを際立たせてしまっている。作者は、「古い童話観」から脱して、もっともっと「つきぬける」こと。

『お下がりランドセルのまど』も、同様に、良質な童話であるところが傷。ランドセルの窓に出るメッセージが、なんらかのネット通信になっているところもつまらない。この程度のことは、現在でも十分可能な技術だから、SF的醍醐味にも欠ける。むしろ、これを、ランドセルメーカーなり教育関係者が、なぜやらないかを、物語の出発点にしたら、おもしろくなったかもしれない。

『幽霊なのに、なんでやねん!』の、「漫才ネタ」と「病気の友人」は、あまりにもありがちな設定。そもそも「漫才ネタ」の作品は、すでにプロ作家がいくらもやっている。それと自作を比較して「これが私の作品の売り!」といえるものを出さないといけない。

『じだらくなぼくのジダラク』には、ある程度の「パンチ力」があった。特に、あやしげな書道教室は楽しい。だが、私なら、物語が破綻しそうになるまで、そこをぐいぐい押すだろう。物語をまとめることを考えるのは、それからでいいと思う。

一方、『天才えんぴつ』には、ありがちな展開をひっくり返す試みが感じられた。特に、天才えんぴつで楽をする主人公を、両親がいさめるどころか、一家でのっかってしまうところ、あっという間に天才えんぴつが世の中に広まって、価値が消えるところが面白かった。が、この手の作品はもっとハチャメチャに展開しないと、魅力が出てこない。そのうえで「あっと驚く着地」を見せてもらわないと、こちらとしても、プロとして送り出すことは難しい。それゆえの「佳作」である。

『ぼくの一番星』が大賞となったのは、「良質な童話」と「パンチ力」のバランスが、いちばんとれていたからだろう。子どもの願いをかなえるために、流れ星がトレーナー役になるところ、しかも、その流れ星自体が「ダメなやつ」であるうえ、彼にもライバルがいて、競争をしなければならないところなどは「新しさ」を感じさせた。とはいえ、きれいにまとめてしまった印象は否めない。出版レベルには、なんとか達しているとは思うものの、今後の作品が、本作以上の「輝き」を得られるかどうかは、作者が「古い童話観」から自由になれるかにかかっていると思う。

選評 後藤みわこ

苦しい選考になりました。これもよかったけど……あれも楽しめたけど……と応募作を並べて途方に暮れました。それはつまり「どれにも欠点があった」「強く推したい作品がなかった」という意味でもあります。「これ、きっと入選よ」と涙を拭きながら読み終える作品に出会う年も多いのに……不思議です。

冒頭から引き込まれ、ワクワクする設定なのに「尻切れトンボ」のもの。破綻はないけれど、どこにも新味がない作品。「この人は書き慣れているな。そのせいで7割くらいの力で流しちゃったのかな」と感じる「そこそこ」の応募作もありました。

受賞作は「デビュー作」になるのです。その後しばらくは「名刺代わり」でもあります。「これがわたしの本です」と胸を張って差し出せますか? 新聞や雑誌の取材に応えられますか? そこまで見通すようにイメージしてみてください。「そこそこ」の作品じゃ、あなた自身が満足できないはずです。

応募作はSFに限定していませんが、「SF童話賞」なのにSFらしい作品が少なめなのも気になっています。

SFはむずかしくて……といわれることがありますが、そうでしょうか。わたし以下の世代なら、幼いころから超能力も宇宙人も時間旅行も「身近」だったのでは? 「もしも、こんなことができたら」とか「未来の地球はどうなってるんだろう」とか考えたことはありませんか? SF童話の種は、そんな記憶の中にも転がっているかもしれません。

SFらしい作品としては、パラレルワールドを描く試みが新鮮な「12月32日」、破滅後の世界を静かに描いた「ブルームーンにだかれて」、(文は成立しているけれど)絵にも描けないぶっとんだ宇宙人ものの「ブッキルボー一家の地球人なりきり旅行」が、票は伸びませんでしたが、心意気を買いたい応募作でした。新作で、次回も挑戦してくださるといいなと思っています。 

選評 廣田衣世

二次選考に進んだ16編は、得点数に明確な差がありました。いつもでしたら、ほんの1~1.5点の差で最終に行くか、落選するか、というドキドキの展開なのですが、今回はその当落ラインに4点以上の開きが。それだけ明暗がはっきり分かれていました。

かくして最終選考に残った六編は、どれもストーリー的にはあまり新鮮味がなく、ありがちな印象でしたが、テーマがしっかりしており、安心して一気に読み進められる作品でした。主人公の頑張りや、たくましい成長ぶりを強く感じられるものが多かったように思います。反面、そうなるとどうしてもSF色がやや薄れがちで、それをいかに両立させられるかが、受賞への大きなポイントになるのではないでしょうか。

その点で、「天才えんぴつ」は、SFテイストの面白さがよく出ている作品でした。地球征服をたくらんで作ったはずのアイテムで、最後には逆に退治されてしまう宇宙人がとても愉快・痛快です。ただ、主人公がこうした魔法のアイテムを手に入れる手段や、テレビのクイズ番組の設定などには、やはり既視感があり、もうひとつ新しい工夫あったらよかったかな、と思いました。

「ぼくの一番星」は、主人公の少年とそのライバルの少年だけではなく、二人をそれぞれ背後で応援する流れ星同士もまたライバル関係という、ダブルの設定がユニーク。弱気になったり強気になったり、揺れ動く主人公の心情も上手く表現され、ラストもすっきりまとめられています。良くも悪くも、いわゆる王道の成長物語ですが、10本ノックのうち1本しか取れなかったのに、たちまち十本全部取れるようになったり、ライバルの少年の転校が都合よすぎるなど、ややリアリティーに欠ける部分が気になりました。

これは「まもれ にじいろ商店街」や「お下がりランドセルのまど」にも言えることで、SFだから何でもアリ、ではないということです。そこにきちんとリアル感があり、子どもの読者がちゃんと納得、共感できるかどうか。SF童話だからこそのリアリティーが大切なのだと思います。

選評 南山 宏

今回の最終候補6作品は、発想度・物語性・文章力ともそろってSF童話の合格ラインに達していて、大賞の選び甲斐があった。とりわけ文章はどの作品も子ども目線がしっかり守られ、安心して読ませてくれる。とはいえ、完成度にはそれぞれに違いがあった。

『まもれ にじいろ商店街』は、未来から商店街の危機を救いにくるタイムトラベルものだが、もっと現代らしく「客のこないシャッター商店街」に設定した物語なら、さらに魅力的になったはず。

『幽霊なのに、なんでやねん!』は、引っ込み思案の内気な少年が関西弁の子ども幽霊(じつは生き霊)とむりやり漫才コンビを組まされそうになるという発想が奇抜でいい。ただ見えない幽霊相手の漫才のやりとりを活字で表現するのは、ちょっと無理を感じた。

『じだらくなぼくのジダラク』は、漢字も習字も大嫌いな少年が、むりやり奇想天外な書道教室に通わされる設定が面白い。ただ最初から最後まで展開される「自堕落→字堕落」などの小難かしいコトバ遊びに、はたして子どもたちがどこまでついていけるか疑問だ。

『お下がりランドセルのまど』は、気の弱い弟が姉のお下がりランドセルの「予言まど」通りに行動したら、あらゆる教科がクラス一に――という発想はいいが、姉の予知力?と今どきのタブレットを使う通信手段が最後まで説明なしなので、話を腰砕けにした。

佳作『天才えんぴつ』は、どんな難問にも正解を出す不思議な「えんぴつ」がじつは地球征服の最終兵器、という風変わりな宇宙人侵略もの。追いつめられた「ぼく」が最後につぶやいた質問が、征服されかけた世界をドンデン返し的に救うという結末が秀逸。

大賞作『ぼくの一番星』は、野球チームのレギュラーをめざす補欠少年が流れ星の精霊少年に願いをかけるが、あいにく願をかけたほうもかけられたほうも、それぞれの世界でライバルにバカにされるような?さえない劣等生で――伏線もキャラ描出も「好きっていうのが一番の才能」というキーワードを効かせた結末も清々しく、少年たちの友情と成長の物語として、文句なく大賞にふさわしい。

選評 島岡理恵子(岩崎書店)

最終選考に残った作品と残念ながら残らなかった作品との合計点数にはかなり差がありました。発想はおもしろいのに、構成力がない。長編の始まりで終わっている。この賞の対象読者を意識しないでグレードが高くなっている。似たような話が以前にあって、それを越えていないなど。そうして最終選考に残った作品でいくつか感じたことを書きたいと思います。

「幽霊なのに」―関西弁のテンポのよさが心地よかったです。ただ、漫才イコール関西弁というのがかえって定番のイメージになってしまい、目立たないかもしれません。

「じだらく」―きれいな文字に焦点をあてているのは、新味がありました。書道の先生のキャラクターも面白いし、ぞうきんがぞうさんになるような書き間違えも笑えましたが、「じだらく」と言う言葉は大人でもあまり使わないので、もっと子供目線で書けたらよかったと思います。

「お下がりランドセル」―なんでもすべてがうまくいきすぎて、逆に物足りない。もう少し意外性があってもいいし、お姉さんがいつも新品同様に小学生時代のものを持っているのも不自然だし、なんでもお見通しなところも都合が良すぎる気がしました。ほのぼのした雰囲気は印象に残りました。

「ぼくの一番星」―全体の構成もまとまりがあり、テーマもわかりやすいです。ある意味児童文学の王道で新味さには少々欠けますが、安定感がありました。

原稿用紙50枚で中学年のグレードというのは、なかなか難しいです。書き込みすぎれば紙数が足りないし、シンプルすぎても盛り上がりに欠けるし、ありがちな内容だと新味が出しにくい。そういった意味ではこのグレードでインパクトが出せれば、いろいろな可能性がより広がると思いますので、ぜひみなさんにがんばっていただきたいです。


これまでの受賞作はこちら

 第30回選考経過 - 2014.12.25

第30回を迎える福島正実記念SF童話賞に、今年293篇もの応募があった。この数字は歴代第1位という多さである。第2位の第28回の時より30篇も増えている。福島賞の世間への認知度が少しずつ高まってきているのだろうか。

応募が増えていても、入賞は厳しいとひと目でわかる作品が混じる割合はそれほど変わらない。毎年お願いしていることだが、グレード(小学校中学年向き)、枚数、傾向(過去の受賞作品などから)を正確につかんで、福島賞にふさわしい作品をご応募いただきたい。

ただ、選考の対象となった作品群は、明らかに過去のものより平均的なレベルが上がっている。それぞれ細かな欠点はあるものの、基本的に読んでいて楽しく、最初から最後までその世界に入ることができるものが多かった。選考委員からも「作家として刺激を受ける」という声が聞かれ、30回を迎えたこの賞の、総合的なレベルアップは本当にうれしい限りである。

その背景には、応募者全体の高年齢化も影響していると思われる。社会経験を積んだ方々の書き慣れた文章は、物語としての完成度も高めている。それはそれでたいへんありがたいが、やはり、若い世代でおもしろい話を書く人も増えてほしい。特に応募者自体が少ない20代後半~30代にがんばってほしい。有名大学に創作コースが設立されるなど、作家を志す人は相変わらず多いと聞く。若くみずみずしい感性を持った若者に、ぜひ児童書の分野に入ってきてほしい。読んだことのない、驚くほど新鮮な物語を書いてくれる人に、さしあげるべく存在しているのが「新人賞」なのだから。

第一次選考を通過したのは以下の15篇だった。

 「あったりなかったり島の冒険」 久次律子
 「ロボット観察日記」 定金千佳
 「サン太ダルマの大修行」 花田しゅー子
 「声蛍」 万乃華 れん
 「新月に舞うUFO」 まいゆみこ
 「ぼくの家は宇宙を翔けた」 小笠原よしか
 「おじいちゃんのスーパーパワー補聴器」 七海富久子
 「猫を、尾行」 太月よう
 「まあいいか、アリだし」 みとみ とみ
 「なんでも消しゴム」 うつぎ ちはる
 「うさぎのアリス」 藤谷クミコ
 「つぼ落ち妖怪つかまえます」 横宣ヒロト
 「着ぐるみ宇宙人 空へ帰る」 大枝良子
 「ロボットがんばります」 田辺公一
 「石器人にカンパイ!」 石川純子

二次選考まで辿り着けても、最終選考に残るまでにはまだ越えなくてはいけない壁がある。「文章がうまい人はネタがつまらなく、ネタがおもしろい人は文章力が足りない」という声が聞かれた。研鑽を積んで、再びチャンレジしてほしい。また、長編の最初の部分で終わっているような作品もあり、この福島賞の分量(50枚~60枚)の中できちんと展開して、書ききるようにお願いしたい。
最終選考に残るべくして残ったのは、次の六作品である。

 「声蛍」 万乃華 れん
 「猫を、尾行」 太月よう
 「まあいいか、アリだし」 みとみ とみ
 「なんでも消しゴム」 うつぎ ちはる
 「つぼ落ち妖怪つかまえます」 横宣ヒロト
 「着ぐるみ宇宙人 空へ帰る」 大枝良子

「声蛍」 万乃華 れん まずタイトルが美しく、引きつけられる。ヤンキースの帽子の件がやや長い感もあるが、雰囲気、空気感が独特で個性を際立たせている。ゆったり時間が流れており、動きがないようで、ある。そこで子どもが修行するようすも新鮮でおもしろい。内面に語りかけてくる表現も好感度が高い。子どもが積極的に手に取るタイプではなく、大人受けする話なので少し心配だという声もあった。ただ独自の世界をまとめる力はある。新鮮なアイデアと文章力が欠点を補う。大人たちが思う以上に子どもは理解力もあるだろう。エンタメだが文学性があり、「言霊」に心を寄せる内容を、今のような時代だからこそ高く評価したい。

「猫を、尾行」 太月よう 文章はリズム感もあり、光るものがある。キャラクターの書き分けもうまく、一気に読めてとてもおもしろい。学校の階段、踊り場での告白など子どもの世界のツボもよくおさえている。しかし悲しいかな、ネタに新鮮味がない。宮沢賢治やジブリ映画などによく似た展開、場面、セリフがあった。また、タイトルも微妙に違うのではないか。「猫のゴンザレス」でもよかったのでは。この勢いは捨てがたいものがあるので、次は抜群のアイデアで勝負をしてもらいたい。

「まあいいか、アリだし」 みとみ とみ 冒頭の「つかみ」がとてもうまく、大いに期待を高めたが、その分、読後の残念な感じも大きかった。テーマである「不幸からの脱出=他人からの感謝」自体が説教臭く、読者をしらけさせる。アリを殺してしまった償いを、どうしてアリとは無関係の人間からの感謝にするのか、いじめ問題との絡みも中途半端。いろいろなトピックが散らばって、収束していない。一貫して大人目線であり、道徳の教科書的な台詞も多かった。「つかみ」で見せた技術を活かして、子どもが素直に入り込める、心躍る作品を書いてほしい。

「なんでも消しゴム」 うつぎ ちはる いきいきとした子どもらしさ、リアルな小学校の生活がよく描けている。子どもにとっては、すんなりと世界に入り込み、おもしろく読んでいける作品だろう。ただ展開がまるで「ドラえもん」的で、冒頭からある程度予測できてしまう。また、子どもの本には必ず何らかの形で「成長」がほしいが、この作品では主人公は最初から最後まで変わらない。細々としたおもしろさ、妙なおかしさは評価されるところなので、今後も文章修行をしていただきたい。

「つぼ落ち妖怪つかまえます」 横宣ヒロト 雰囲気がよい。文章力もあり、キャラクターの心情もよく伝わる。ネーミングも、妖怪退治のスタイルもおもしろい。しかし、話としては読ませるのに、なぜかこの「続き」の方が気になる。これは明らかに長編(連作)向きの作品であり、福島賞とは応募先が異なるように思える。マンガ的なイラストがよく似合いそうだし、年齢を上げたらラノベ風にもなりそうだ。おもしろいだけに残念。来年は福島賞にフィットする作品でご応募いただきたい。

「着ぐるみ宇宙人 空へ帰る」 大枝良子 ぐっと内容に引きこまれる物語だった。「テキオー(適応)スーツ」という発想もおもしろいし、読後感もいい。ただ、タイトルでネタバレするなど、細かいところの詰めが甘い。肝心のスーツが、そのままイスにかけても人間のように見えるという設定は厳しいし、ラストもそれでどうなるのか……という暗示がほしい。また全体的に平板な印象だった。いろいろな意味で惜しい。総合力を上げて、また挑戦してほしい。

受賞作品であるが、最初から評価の高かった「声蛍」が満場一致で大賞受賞作品となった。昨年は大賞該当作がなかった分、選考委員一同、うれしさもひとしおの決定だった。いい本に仕上げて世に問うてもらいたい。佳作については、文章力でキラリと光るものを見せてくれた「猫を、尾行」にすることを、これも満場一致で決定した。次はぜひネタの新鮮な作品の応募を、という期待を込めたい。

受賞作品は次のとおりである。

大賞 「声蛍」 万乃華 れん
佳作 「猫を、尾行」 太月よう

2013年3月
福島正実記念SF童話賞選考委員会

選考委員の選評


選評 石崎洋司

毎年、この欄に書いているように、ぼくは選考の基準を「今後、プロとしてやっていける力があるかどうか」においている。ほんとうにプロとしてやっていけるか否かは、「運」によるところも大きいのだけれど、児童向け作品をコンスタントに生み出すための「最低条件」は、やはりあると思う。その条件とは、ひとつは「技術」、もうひとつは「素材を見つける目」だろう。そして、今回、最終選考に残った作品レベルの高さは、「技術」の方にだけかたよっていたと、個人的には思う。

その最たる例が、佳作の「猫を、尾行」。ぼくはこの作品を一次選考から通算3度も読んだのだが、何度読んでも感想は「ありきたりの内容、でも、書き方は上手」だった。およそ「新人賞」らしくない作品なのだ。けれど、物語を運んでいく達者さには「別のネタでもういちど読んでみたい」と思わせるだけの力があったのも事実。だから、次回のチャレンジに期待、という意味の佳作である。

これと同じく、「なんでも消しゴム」も、文章は上手で内容はありきたり、だった。が、そのありきたりも、選考委員のほぼ全員が「ドラえもん」ネタを想起してしまったとなれば、さすがに技術ではカバーしきれなかった。新しい素材のあつかいに苦労することで、技術が上げるということもある。素材選びの段階でもっとチャレンジしてほしい。 「着ぐるみ宇宙人 空へ変える」は、作品の体裁は整っていた。「ここがダメ!」という欠点がない。でも、そこが欠点。「思いがけないネタ」とか「思わずひきこまれる文」などの長所もないのだ。ちゃんとしているけど、児童読み物の書き方としては古いということ。「現在」に迎合する必要はないが、少なくとも、いまの子どもたちが何を読んで、どう反応するのかも考えてほしい。

「まあいいか、アリだし」にも同じ「古さ」を感じた。実は、タイトルと書きだしには、かなり心ひかれるものがあったのだ。なのに、主人公に課せられたハードルが、いかにも古き良き児童文学的で、とてもがっかりした。デビュー間もない作家たちが、いま、どんなふうに作品で「冒険」しているか、少し研究してみるといいと思う。

意外におしかったのが「つぼ落ち妖怪つかまえます」。キャラもいいし、書きだし、そして物語の運びにリズムがあって、思わずひきこまれる。が、いよいよ本格的に物語が起動するべきところで、紙幅がつきてしまう。50枚だからできること、300枚だからできること、この見極めは経験だと思う。素質を感じるので、ぜひ経験を積んでほしい。

というわけで、満場一致ですんなりと「声蛍」が大賞に輝いた。とくに派手なところもないのに物語的には動きがあるという、不思議な魅力がある。タイトルもいいし、それが中身とつり合っているのもいい。ただ、小3、4向けかどうかには、若干の疑問がある。今後、想定読者と内容のバランスをとれる作品を書けるかどうかが、課題だろう。

選評 後藤みわこ

「猫ブーム?」とわたしの選考メモに書いてあります。最終6作品の半数以上に猫(猫的妖怪を含む)が登場するからです(カラスが重要な役の作品も複数)。それどころか6作品すべて、主人公が男の子で作者が女性。こんなふうに揃うなんて、珍しい年でした。

一次を通過した作品は、どれが上がってきてもおかしくない出来でした。二次を通った6作品は、選考会でどんな結果になっても異議はないと思えるおもしろさでした。

それでも受賞に至らないものは、その理由となるだけの弱点があったわけですが……弱点は魅力を増やすうちに消えていく、あるいは、あっても目立たなくなるんじゃないか。そう信じ、受賞を逃した作品について、印象的な部分、評価した要素を書いてみます。

「まあいいか、アリだし」……異常事態のゾワゾワ感。虫嫌いの子は泣くかも?
「なんでも消しゴム」……小学生男子の生活のリアルさ。読者が楽しめそうです。
「つぼ落ち妖怪つかまえます」……登場人物の心情の掬い方。渋さも好きでした。
「着ぐるみ宇宙人、空へ帰る」……端正な文体。語り口に安定感があります。

魅力をどんどん増やして、ぜひ次回、再挑戦してください。期待しています。

大賞の「声蛍」に関しては他の委員にお譲りするとして、佳作に留まった「猫を、尾行」について、少しお話ししますね。

おもしろい作品です。心地いいくらいノレました。でも、「猫と話が通じる」「猫の集会」「猫たちに紛れ込んだら自分も猫に」などの要素だけ抜き出したら、すでに世に出ている作品にいくつも見つかりそう……。

このノリで、違うネタなら!

好きな作品でも推せず、「もったいなさ№1」でした。選考メモにも、つい「どうすりゃいいんだ」と書いてしまったほどです。

「こんなの見たことない!」と読者が驚くような世界を、楽しく書いてほしいです。

選評 廣田衣世

今回の応募総数は歴代1位。前回、大賞作が出なかっただけに、応募者が減るのではと心配していましたが、300近い作品が集まり、とても嬉しく思いました。

「声蛍」は、まずそのタイトルに惹かれます。口には出せないけれど、胸の中にはしまっておけない、誰かに聞いてほしい、という強い気持ちが「声蛍」となって浮遊する、という幻想的なストーリーが魅力的。一種の言霊のようでもあり、それらを心で感じ取れるようになろうと、一生懸命に精神修行する主人公たちもかわいらしく、ほのぼのと描かれています。物語全体に流れる時間がゆったりと優しく感じられ、独特の雰囲気が伝わってきました。冒頭のヤンキースの帽子云々の部分をもう少し整理し、その分ラストに厚みをもたせるともっとよかったかな、とも思いましたが、最終選考に残った中で、一番好きな作品でした。大賞受賞、おめでとうございました。

「猫を尾行」は、猫集会に出かける飼い猫をそっと尾行しているうちに、自分たちも猫の姿になってしまい、集会に紛れ込んでしまう、という不思議なお話。どこかのアニメ映画で見たような感もありましたが、文章のリズムもセリフもテンポよく、キャラもそれぞれしっかりしていて、とても楽しく読めました。最終選考会の5日前、我が家に迷子の子猫がやってきたこともあり、(現在、うちで飼っています)一読後、思わず愛猫がもっと愛おしくなる作品でした。ただ、タイトルには一考の余地がありそうです。

タイトルという視点でいうと、毎回「ストーリーは面白いのに、タイトルが……」という作品がよくあります。今回の中では「着ぐるみ宇宙人 空へ帰る」などもそうで、要はネタバレ的だったり、ストーリーと全くつり合っていなかったりするものです。タイトルは、読者を引きつける重要なポイントの一つです。その点、「声蛍」や「まあいいか、アリだし」は、成功していると言えるのではないでしょうか。

選評 南山 宏

応募総数がまたもや記録更新されたのはまことに喜ばしい。それ以上に嬉しいのは、選者として長年本賞に携わってきた私から見て、応募作品の質的レベルが全体的に10年前20年前よりかなり上がったように感じられることだ。その証拠に一次・二次・最終選考を通じて、各段階で篩い落とし難い作品の割合が年々増えている。

だが、SF童話の新人賞という本賞の性格上何より重要なのは、アイディアの独創性、エンターテインメント性の充実度、そしてプロ作家としての将来性の3点だと思う。

大賞作『声蛍』は、以上の3要件を申し分なく兼ね備え、その点で全6作の中で一頭地を抜いている。最初に読んだ時点でこれぞ本命と感じさせ、その通りの結果になったのは個人的にも嬉しい。

まず人間でも動物でも「心の声」が「声蛍」という喜びの赤や悲しみの青に光る玉の形で現れ、見える人には見え、聞こえる人には聞こえるという独創性あふれる設定がすばらしい。いわゆる「言霊信仰」思想だが、そのような難解な用語は一切使わずに終始子ども目線に立ちながら、会話と改行を多用するシンプルで短いリズム感のある文体で、テンポよく物語を進めていく。

エンタメ性と文学性をほどよくミックスさせ、押しつけがましくない程度にさりげなく倫理的テーマ性も含ませた作者の力量は瞠目に値しよう。受賞後の仕事に大いに期待したい。

佳作『猫を、尾行』も、作品のエンタメ性と作家としての将来性の2点では、大賞作に引けをとらないものを感じさせる。拾ってきたドラ猫が「猫人間」かもしれないと悩む飼い主の小学生という話はかなり定石的とはいえ、私のような猫好きにはけっこうグッとくる化け猫ユーモアファンタジーだ。

「人語をしゃべる猫」と「猫の集会」という基本設定に前例が幾通りもあるのが残念だが、完成度という一点だけからすれば、過去の大賞作ともほとんど甲乙つけがたい出来栄えと言える。

『つぼ落ち妖怪つかまえます』はタイトル通りの現代妖怪捕り物ファンタジー。普通人には見えない妖怪が見えるため、江戸時代から先祖代々妖怪退治の使命を負わされた少年が、助手の善玉妖怪と協力してこの世の悪玉妖怪を次々につぼに封印して浄化させるというアイディアは秀逸。ただ全体的にグレードが高いので、長編に書き直して本賞の兄貴分のジュニア冒険大賞に挑戦してほしい。

『着ぐるみ宇宙人 空へ帰る』もタイトルそのままのSF冒険譚。丘の上のレンガ屋敷に住むおじいさんと大きなシロネコときれいなおねえさんが、宇宙人の一人三役であることを少年が突き止めてしまう。発見のきっかけが背中のファスナーというアイディアを面白いと思うか、なあんだと失望するかが評価の分かれ目だ。

『まあいいか、アリだし』はアリをうっかり踏み潰した少年が、兄弟アリの大軍団にリベンジを宣告され、助かるためには一週間以内にだれかに感謝される善行をしなければならなくなる。

また『なんでも消しゴム』は魔法のコンビニで「なんでも消しゴム」を買った少年が、大嫌いなサラダや漢字テストの時間などを次々に消していき、ついには親友や自分まで消しそうになる。

どちらの話も最初の設定が平凡すぎ、そこから引き起こされる騒動も予想がついたり、論理のつじつまが合わなかったり、話のピントがぼやけたり、どこかで見たような展開だったりで、残念ながら筆力以外には全体的にあまり魅力が感じられなかった。

蛇足ながら、最終選考の六作品の書き手がそろって女性で、話の主人公のジェンダーがそろって少年(「ぼく」か三人称の男児)だったのは、記憶のかぎりでは前例がない。たんなる偶然か、それともユング流にシンクロニシティーと解すべきだろうか?


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 第29回選考経過 - 2014.12.25

第29回を迎える福島正実記念SF童話賞に、今年は247篇の応募があった。この数字は歴代2位(1位は昨年の263篇)という多さである。
今年度の特徴としては、同じようなモチーフやテーマが多かったことが挙げられる。サッカー、星、生命についてなどがよく見受けられた。女子サッカー「なでしこ」の活躍や探査機「はやぶさ」の地球帰還、昨年の東日本大震災の影響を大きく受けていると考えられる。
内容についていえば、わるくはないが、際立つもののない作品も多かった。たくさんのご応募をいただけるのはとてもありがたいが、やはり数ではなく、質の高いものが望ましい。想定外の驚きをもたらすような新しい書き手が現れることを願ってやまない。

第一次選考を通過した作品は、以下の16篇だった。

 『親切ポイント』 小田良一
 『アルファタケハの小びん』 七妻 実
 『不思議商店街の時計おじさん』 城上黄名
 『流れ星は友だち』 遠山裕子
 『ホウキ星からきたセイ』 葉山わたる
 『過去と未来の守りびとたち』 こうまるみずほ
 『満・満~今、ヒーローになる時!~』 ひらやままこと
 『ゆうれいトカゲ』 吉田誠一
 『ざしきわらしノート』 太月よう
 『人相占いマシン』 たかぎなまこ
 『なにかが起こりそうな夏休み』 七海冨久子
 『ルビーの指輪をさがしていたら』 はながた れい
 『ちょっとだけエスパーに』 いわきたろう
 『わたしのスケルトン』 すみ のり
 『跳べ! 正義の疾風少女ライチ』 てり
 『ぼくらのエネルギー革命』もりいずみ

例年と同じく、文章力、発想(アイデア)、ストーリー展開が必要な要素として、満遍なく満たされていないといけない。二次選考までたどり着けなかった作品はどれも、アイデアはよくても展開がもたもたしていたり、出だしはよくても終わりがあっけなかったりと、残念なものが多かった。
二次選考を突破して、最終選考ラインに並んだのは、以下の5作品である。

 『アルファタケハの小びん』 七妻 実
 『不思議商店街の時計おじさん』 城上黄名
 『ホウキ星からきたセイ』 葉山わたる
 『ゆうれいトカゲ』 吉田誠一
 『わたしのスケルトン』 すみ のり

『アルファタケハの小びん』 七妻 実 グレードが高めの印象だった。何年生(何歳)なのかがわからない。児童書なので、わりと早いうちに読者に主人公のプロフィールがわかったほうがよい。物語自体は、おもしろく、タイトルもいい。ただ、設定がやや強引であることと、全体的に昭和30年代のような匂いが漂うのは意図したものなのだろうか。また、明らかに恋愛の描写もあり、福島賞としてどうなのかを改めて考えさせられるものがあった。肝心の「星を売る男」のキャラクターが最初から最後まで共感を呼ぶタイプでないことも気になった。甕のなかに星空があるところなど、うまさを感じさせられるところもあったので、その長所を活かして、また別のモチーフをうまく料理してほしい。

『不思議商店街の時計おじさん』 城上黄名 まずタイトルの「不思議商店街」だが、どこが「不思議」なのかがわからない。時計屋以外の店で「不思議」を感じさせる場面はない。「商店街の不思議な時計屋」といったほうが正しいのでは。タイトルは重要なので慎重につけてほしい。こうした些細なミスが多かった。全体の印象でいえば、いろいろな時計がずらっと並んだ場面や、うさぎの目覚まし時計が大活躍するなど、おもしろくなるところはおもしろい。絵にもなるだろう。だからこそきっちりと世界観を構築してほしい。ファンタジーであっても、リアリティがないといけない。時計が絡んだ「時間」の概念に関する物語と少年少女とのやりとりがうまく書けておらず、どっちつかずな印象があり、作品全体としてのまとまりに欠けていた。でも伸びていく力を感じさせるものはある。次作はぜひ細かいところから丁寧に作り上げてほしい。

『ホウキ星からきたセイ』 葉山わたる SFとしてもファンタジーとしてもやや乱暴な設定だった。隕石とコメットを混同しているところがある。また、「魔法でなんでもできてしまう」というのがご都合主義な感じを与える。ただ、いきなり主人公と星からやってきた少女が双子になったりと、おもしろさはある。それに勢いもあるので、読ませるし、いいお話という印象は残す。最大の難点は、「生命の進化」というテーマが去年の大賞作品と全く同じだということ。やはり毎年の大賞作品にはバラエティを求めたい。公募の新人賞だから新しさに驚かせてもらいたいという気持ちがあるので、読んだことのない物語をぜひお願いしたい。

『ゆうれいトカゲ』 吉田誠一 大人が少年時代を回想する、という内容だが、これもグレードを上げている印象がある。トカゲが影を切ったり、くっつけたりする仕組みについても、嘘でもいいから理屈がほしかった。この作品も細かいところに神経が行き届いていない場面が多くあって、残念だった。「壁抜け」のシーンはとてもおもしろい。読者が絶対できないことを、主人公が体験する。その描写を追うことで読者が自分がしているような気分になるのは物語ならではの醍醐味なのだ。そこは楽しめた。「人を死なせてはいけない」今年だからこそ描きたかったテーマなのだろうか。全体的にトーンの暗いのが気になったので、新しい作品はぜひ明るく描いてほしい。

『わたしのスケルトン』 すみ のり ばかばかしいながらも、おもしろさのある作品だった。女の子の心情もよく書けている。しかし、この作品も主人公のプロフィール(名前、年齢)などがなかなか出てこない。全体的に技術点は高いが、芸術点は低そうだ。出てくるネタ、展開は古く、パターンもなじみのものである。文章が上手か、下手かも選考委員のなかで意見がわかれた。盛りこまれている材料がたくさんあり、一読して理解するのがなかなか難しい。新鮮な要素は、従来、「幽霊」として出てくるものが骸骨になったということだけだが、これもそのまま「幽霊」だったら、どうだろうかということになった。数年前の「きもだめし☆攻略作戦」とモチーフが似ているのも気になる点だった。一読して「おもしろい」と思わせる力はあるので、新鮮な味付けをしてほしい。

受賞作品をどれにするかでおおいに悩んだ。例年の流れからすると、どれかが必ず大賞をとり、大賞受賞作品は岩崎書店のラインナップに乗り、刊行の運びとなる。しかし、今年の最終候補のなかで、今までの受賞作品と並び、また、多少の改稿を加えたとしても自信を持って世の中に出せる作品はあるだろうか…という点で議論となった。受賞作品は来年からの基準となることも踏まえ、厳しく審査をしたい。満場一致でひとつの作品を出せないという事実を重視して、今年は大賞受賞作なし、という結果となった。そして、今後の期待を込めて、『不思議商店街の時計おじさん』と『わたしのスケルトン』が佳作に選ばれた。

受賞作品は次のとおりである。

大賞 該当作なし
佳作『不思議商店街の時計おじさん』 城上黄名
  『わたしのスケルトン』 すみ のり

2012年3月
福島正実記念SF童話賞選考委員会


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 第28回選考経過 - 2014.12.25

第28回を迎える福島正実記念SF童話賞に、今年は263篇の応募があった。この数字は昨年に引き続き、過去最高を更新するものである。全体的な傾向としては、応募者の平均年齢が高くなったように思われる。反面、20代が少ないのが気になるところである。数が多いからといって、レベルが上がったということも一概に言えず、また例年と同じく、グレード、内容が明らかに福島賞と違うものがあった。福島賞自体をよく理解して、応募していただくことを願う。

第一次選考を通過した作品は、以下の18篇だった。

 「ケイチャンとバキューム・ワールド」 渡邊禎子
 「バルーの風船レター」 西村洋子
 「エイキュウ・キカン」 藍沢羽衣
 「おふくろの味」 はちべえ
 「クリームシチューにとびこまないで」 在上水悠
 「ピッチはタイムトラベラー」 里 洋子
 「実れ! 希望のタネ」 奈月俐都
 「じいちゃんの研究所」 佐藤卓郎
 「人魚研究所」 星 大悟
 「サンタの不思議なおくりもの」 もりいずみ
 「子どもワールド・パニック」 安藤邦緒
 「昆虫Gがやってきた!」 こうまる みずほ
 「対決! おもちゃ大決戦」 大野順子
 「ヒュルルイー ホイッスルが鳴って」 吉田美香
 「ぼくらと虫と神様と」 嘉瀬陽介
 「ひと夏の友だち」 庭野 雫
 「じいちゃん、どこ行くんや」 文月奈津美
 「進化する夢の中で」桜井まどか

二次選考過程では文章力、発想(アイデア)、ストーリー展開など、必要な要素が一応満遍なく満たされていないといけない。一生懸命書いている姿勢を、なんとか選考委員に読み取らせようとするような努力はあまり役に立たない。

二次選考を突破して、最終選考ラインに並んだのは、以下の5作品である。全員女性の作品で、二次選考の採点に、あまり高低がなかった。

 「実れ! 希望のタネ」 奈月俐都
 「サンタの不思議なおくりもの」 もりいずみ
 「昆虫Gがやってきた!」 こうまる みずほ
 「じいちゃん、どこ行くんや」 文月奈津美
 「進化する夢の中で」 桜井まどか

「実れ! 希望のタネ」 奈月俐都 子どもはかわいく、話も楽しいことは楽しいが、ラストが盛り上がっていないのが一番残念な点だろう。昨年の受賞作に影響を受けて、女子のSFにしたのだろうか。うさぎは今年の干支で、絵にしてもかわいいだろうし、キャラクターとしていけるだろう。話もアイドル志望のライバルがいたりして、わかりやすい。でも、それ以上ではない。隕石が落ちてくるにも関わらず、パニックにもならず、ふつうに授業をしている不思議さ。ともかく全体にドキドキ感がないのは、詰めの甘さだろう。文章はグレードにぴったりで、福島賞らしい作品だった。

「サンタの不思議なおくりもの」 もりいずみ 文章は、かなり書きなれている。ストーリーもきれいにまとまっているようだが、気になるところが見えかくれする。まず母子家庭の状況は展開不足のままで終わっている。また特定の固有名詞(商品名、メーカー名)を出しすぎる。必然性もないので慎重に扱ってほしい。全体的にせっかくの筆力を十分に生かしきれていないのが残念だった。

「昆虫Gがやってきた!」 こうまる みずほ ゴキブリを「G」とする表現がおもしろい。そして中盤ぐらいまでおもしろく読める。ところが冒頭を上手に書けるとそれ以上のラストを求められる。この作品では、ラストが物足らなかった。Gがなにもしないで自分の世界に帰ってしまう。消える前に「くらげ」に似ているという本当の姿を見せたりする工夫が必要だ。ゴキブリを手のひらに乗せるような、絶対にいやなことを山場にして盛り上げなければいけない。文章はAクラス。

「じいちゃん、どこ行くんや」 文月奈津美 関西弁はいいが、文章がやや荒っぽく、類型的で、方言のおもしろさや新鮮さが足りない。変換ミスも多すぎてマイナスになっている。送る前に出力したものを確認するのは大前提だろう。物語ではポイント、ポイントのアイデアはいいが、まとめきれていない。思いついたアイデアを本人自身が楽しんでいる感じがないので、こちらにも伝わってくるものがない。場面、場面だけだと一瞬おもしろいが、それを物語にうまく織り込めないと作品全体のおもしろさが盛り上がってこない。ラストの「殺される」という表現はいかがだろうか。全体的に言葉そのものに神経が行き届いていない。もっと丁寧に書かないと作者の実力が出にくいだろう。

「進化する夢の中で」 桜井まどか いちばんおもしろいと意見が審査員内で一致した。進化論を使って、わかりやすくしている。アイデア、志の高さを評価したい。大人にもズキッとくるところがさりげなく書かれている。細かいところにも目が届き、実がぎっしり詰まっている。個々のキャラクターにそれなりの役割を持たせ、読み応えがあり、場面展開がおもしろい。ほかの作品と比べても異色である。夢から夢へ続くストーリーは、飽きることが多いが、飽きさせずに読まされた。今までの福島賞にない、重さ、深みがある。作者の気持ちが読者の内面に入ってくる。気持ちの熱さがうまく表現されている。文章はおとなしいが、奥底に力強いメッセージがある。本にするときのタイトルには、再考の余地あるだろう。

こうして議論を踏まえたあとに、今年の受賞作品を決定した。審査委員が満場一致で推した「進化する夢の中で」が大賞に、「昆虫Gがやってきた!」が佳作に選ばれた。なお、大賞作品の内容、グレードにあわせて、今年度から福島賞受賞作品の判型をB五変型判からA五判にすることもあわせて決定した。判型、版面作りを変えていくことで、福島賞そのものにも新風を吹き込みたい。

受賞作品は次のとおりである。

大賞 「進化する夢の中で」 桜井まどか
佳作 「昆虫Gがやってきた!」 こうまる みずほ

2011年3月 福島正実記念SF童話賞選考委員会


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 第27回選考経過 - 2014.12.25

第27回を迎える福島正実記念SF童話賞に、今年は234篇の応募があった。この数字は過去最多である。なかには、およそ童話でもSFでもないような応募作品があり、また対象とするグレードがあまりにも違うものもあった。本数(量)が増えるのはありがたいことだが、同時に質もあげたい。そして何より、「福島賞をとりたい」という熱意が見える作品をぜひお待ちしたい。また、今回は応募者の年齢の高さが目立ったが、時代をリードする若者の挑戦が増えることもぜひ期待したい。

第一選考を通過した作品は、以下の16作品だった。

 「あべこべロボット」 宮野あきら
 「ガミガミママをイメチェンしよう!」 小日向 誠
 「宇宙の船のその向こう」 藤岡かよ
 「こどものツバサ」 佐知川由柾
 「アーシー」 白矢三恵
 「悪魔のカバカバ、地球に落ちてネコになる」 李巳明代
 「春をくれたユキノハナ」 水無月星夜
 「いたずら小人、大あばれ!」 柚木原 凛
 「歯が抜け候」 尾木直子
 「エレベーターは秘密のとびら」 三野誠子
 「ヨルの森の真ん中の石」 小谷 由
 「夏の約束〜ジェルの贈り物〜」 玉田千鶴子
 「ぼくらの方舟」 星 奏生
 「スキなら青?キライなら赤?」 三宅久美
 「たくさんの月曜日」 田辺公一
 「あすは火星におひっこし」 西川由起子

二次選考を通過して、最終選考に残ったのは、以下の5作品である。
「アーシー」 白矢三恵
「エレベーターは秘密のとびら」 三野誠子
「ヨルの森の真ん中の石」 小谷 由
「たくさんの月曜日」 田辺公一
「あすは火星におひっこし」 西川由起子

2月10日、岩崎書店で最終選考会が開かれ、この5作の評価をめぐって熱い討議がおこなわれた。

「アーシー」 白矢三恵  好感の持てる作品だ。登場人物のキャラクター設定もよい。少年少女の友情や現代の家庭問題なども絡めてひきつけるものがある。関西弁での丁々発止のやりとりも楽しくおもしろく読んでいけるのに、ストーリーが先細りになってしまっているのが残念。また、謎解き(SF的要素)がないのは、この福島賞では致命的だった。粘土で作ったアシカがどうしてしゃべるのかが未解決のままなのである。アイデアをもっとうまく活かして、もうひとひねり山場がほしい。それには主人公にもっと行動力が必要だ。大事なアシカを少女に託さず、自分で解決していく方法をとれば展開もちがってきただろう。ドキドキワクワク感も若干薄く、新人賞を狙うには損である。

 

「エレベーターは秘密のとびら」 三野誠子 エレベーターから各フロアに飛び出すごとに、世界が変わってしまうというアイデアがまず評価された。また、独自の文体を持っている点でも高評価だった。読み手である子どもをきちんと意識して書いてあるのが好ましい。子どもの目線が確立されており、テンポよく子どもの日常に沿って、違和感なく生活を描いている。作者は昨年も最終選考に残っているが、この1年ですごく力をつけたことを実感させられる。昨年惜しかったポイントがクリアされている。ただ、謎解きの部分は子どもたちが自力で気づいてほしかったという声があがった。まだまだアイデアの展開、伏線の張り方に甘いところがある。このマンションは何階までなのかが明らかにされていない。それが知りたいところであるのに、最後まで明かされない。ただ、前回にくらべてさらに読みやすく、工夫のあとがみられる作品である。

「ヨルの森の真ん中の石」 小谷 由 いきなり最初の5行で心を鷲づかみにされた、とほぼ全員の選考委員の意見が一致した作品。ストーリーも名前を呼ばれると虜にされてしまうので、主人公が13ページ目(応募原稿)でやっと名前を名乗るという異色ぶりだ。しかし、残念なのは後半がまとまらなかったこと。前半がアイデアも含めてすばらしかっただけに大変惜しい。また、登場人物もややごちゃごちゃしており、すっきりしないまま終わっている。それは気味悪さ、怖さの書き方にこだわりすぎたせいかもしれない。

「たくさんの月曜日」 田辺公一 この作品には、類例・類型がすでに世の中に多くあるのが残念なポイントである。また、タイトルをどうして「毎日が月曜日」にしなかったのか不思議だという声も聞かれた。途中、哲学的な考察があるのが、それがよくもあり、悪くもあった。読者は子どもということをもっと意識しないといけない。最初はひきこまれたし、ラストもまとまっているので、この中盤が問題である。そこには、もっと物語としての醍醐味を感じさせるものがないといけない。また、キャラ設定は最初からしたほうがいいだろう。せりふをただ言っているのではなく、意味をもたせたい。

「あすは火星におひっこし」 西川由起子 小見出しから、きちんと計算をしており、好感がもてる。SFについて勉強してきたことが、随所に活かされているのがおもしろい。SFらしいSF、という高評価だった。しかし、全体が場面の変化にとぼしく、本になった場合、イラストが似てくるのではないか。文章の行替えがないのも気になる。さらに大きな議論になったのは、主人公たちが公園のホームレスと仲良しという点。今、子どもはホームレスに関わらないよう指導される。いきなり冒頭から仲良しでは不自然。子ども観がやや古いといえる。今、子どもの本はどんな読まれ方をするかわからないので、こういうポイントも注意しなくてはいけない。

 こうして議論を踏まえたあとに、今年の受賞作品を決定した。決定的な欠点がなく、明るいファンタジー作品である「エレベーターは秘密のとびら」を大賞に、冒頭部分で選考委員の気持ちを強烈にひきつけた「ヨルの森の真ん中の石」を佳作に、また、SF的アイデアで群を抜いていた「あすは火星におひっこし」も佳作に選ばれた。

受賞作品は次のとおりである。

大賞 「エレベーターは秘密のとびら」 三野誠子
佳作 「ヨルの森の真ん中の石」 小谷 由
佳作 「あすは火星におひっこし」 西川由起子

2010年3月 福島正実記念SF童話賞選考委員会


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 第26回選考経過 - 2014.12.25

第26回を迎える福島正実記念SF童話賞に、今年度は合計194編の応募があった。前回に比べると50編以上もの増加ということになる。創作集団プロミネンスと岩崎書店が同じく懸賞公募しているジュニア冒険小説大賞の応募数も今年は飛躍的に増加した。
今年の特徴は、応募者数の増加のほかには、SF仕立ての作品が多いことだった。何年か周期でめぐってくる「SF豊作年」に当たったのだろうか。また、SFは景気が悪くなったり、戦争が間近になったりすると多く読まれるという俗説もあるそうだが、それも当てはまるのだろうか。

第一次選考を通過した作品は、以下の17作品である。
〜ひみつものがたり〜『健太の冒険』 遠山裕子
ミミズ・掃除屋・ダンゴムシ さえぐさふゆめ
下校のチャイムがひびいたら 奥深 行
きもだめし☆攻略作戦 野泉マヤ
妖精ピリリとの三日間 西 美音
担任ロボッ太 夏神うをすけ
五年一組、バレンタインは七夕やります 三宅久美
トモダチは死神見習い 佐野由美子
ティントーヌウガーミ 藤 あさや
天の川から舞い降りてきた七夕竜 小林志鳳
台風のタマゴ むなかたわたる
遺伝子組みかえ引き受けます 横田明子
ルイシャンマイシャン大騒動 三野誠子
とうめい人間のクスリ!? おおのさとみ
ワーズワースの詩 天城れい
お願い、カメ様 上木千尋
UFOを目撃しよう そして宇宙人を見つけよう 文月奈津美

二次選考を通過して、最終選考に残ったのは、以下の6作品である。

〜ひみつものがたり〜『健太の冒険』 遠山裕子
下校のチャイムがひびいたら 奥深 行
きもだめし☆攻略作戦 野泉マヤ
妖精ピリリとの三日間 西 美音
担任ロボッ太 夏神うをすけ
ルイシャンマイシャン大騒動 三野誠子

2月6日、岩崎書店で最終選考会が開かれ、この6作の評価をめぐって熱い討議がおこなわれた。

〜ひみつものがたり〜『健太の冒険』 遠山裕子  健太のおばさんは作家だが、スランプに陥り、新しいアイデアを求めて、甥っ子の健太を「本」の世界へ送り出す。そこで健太はいやいや冒険の旅に出る。ところがこの物語は、おばさんの作家の視点で描かれており、主人公の健太はすべてにおいて受動的だ。子どもが手にする物語で「冒険」というタイトルをつけるならば、主人公である少年の主体性、人間的成長は絶対不可欠であり、何もしないで物語が解決してしまうのはいただけない。また「どきどき・わくわく」感がないことも致命的だ。物語がはじまってから肝心の冒険に入るまでが、無駄にだらだらと長い。50枚という制限があるのだから、主人公が最初から動いて、枚数を精一杯有効に使ってほしい。

下校のチャイムがひびいたら 奥深 行 放課後の学校で、また夜間の学校で3人の少年が顔を合わせる出だしが、怪しいできごとを予感させて読者を物語に引きこむ。ストーリーは宮沢賢治の「注文の多い料理店」をパロディ化した面がある。昆虫型宇宙人が皮をぬいで出てくるあたりはおもしろい。ただ状況がイマイチはっきりしない。SFなら空想科学的理くつがほしい。ホラーにするなら荒唐無稽を前面に押し出し、C級の怪獣映画なみに羽目をはずしたほうがよい。中途半端が一番いけない。「夜の学校」という場を生かして、もっとホラーっぽくした方が読後感もよくなるだろう。

きもだめし☆攻略作戦 野泉マヤ  こわがりやの主人公が、一人で暗い道を歩く練習をしていて、高校生と知り合う。そのお兄さんが「きもだめし」の強力な助っ人になってくれて……という物語の運びがうまい。いじめっ子がいたり、怪談っぽいところがあったり、そのバランスがよく、なかなかのテクニシャンだ。好感度も高い。一読後泣けるムードもある。SFとしては「幽霊は電磁波の一種」という幽霊観が出てくるが、幽霊探知機や除霊機はこけおどしで、うまく使いこなせていないようだ。勉強してほしい。

妖精ピリリとの三日間 西 美音 これはSFのようでもあるし、ファンタジーのようでもあるが、どちらかといえばファンタジーの色合いが強い作品だ。SFファンタジーとしておけばどちらの顔も立つ。この作品で注目したいのはこれまでSF童話で、あまりとり上げなかったテーマに挑戦しているところだ。妖精ピリリは、主人公の少女には大型のセミにしか見えないが、母や町の人間たちには、背中に羽の生えた15センチくらいの美しい妖精に見える。セミなのか妖精なのか? 写真にとってみると、丸いぼんやりした光しかうつらない。このあたりにSFファンタジーとしてのリアリティがある。そしてこの作家の将来性を示している。

担任ロボッ太 文部科学省から送られてきた担任の先生はなんとロボットだった。クラスの生とたちはみんな破天荒なロボット教師に振り回されるが、なんとなく憎めない。そういう設定はよくできているが、発想、言葉づかい、ネーミングなどが全体的にやや古い感じがする。内容もドタバタの域を出ていないが、わかりやすく、ロボットもの独特なおもしろさがある。ただ今のロボットはもっと進化しているはずだ。この物語を生かすなら、古いDVDを見ていて、その中に入ってしまうことか、40年前の文部省で作られたということにしたらどうだろうか。もう一つ注文をつけたい。登場人物たちに個性がないことが気になる。勢いだけで読ませるのは限度がある。とにかくSF童話にとってロボットものは、もっと充実させたい分野だ。新しいロボットSF童話の世界を作り上げてほしい。

ルイシャンマイシャン大騒動 三野誠子  テレビの上で飼う「ルイシャンマイシャン」という不思議なペットが大流行する物語だ。かつて現実に流行した「ケセランパサラン」のパロディだろうか? 「ルイシャン〜」は宇宙人が地球人を支配するために仕掛けたものだが、このオチが意外にあっさり明かされてしまう。宇宙人の地球侵略SFでナンセンスものといえば、第12回の大賞「ボンベ星人がやってきた」(竹内宏通)がなかなかの秀作だ。宇宙人のおとぼけぶりとその風刺性を参考にしてほしい。

議論のあとに、受賞作品候補として「きもだめし☆攻略作戦」と「妖精ピリリとの三日間」の2作品に絞って討議が続けられた。「きもだめしー」には、読みやすさ、安定感、優しさと暖かさがある。仕掛けに疑問が残る箇所があるので、そこさえクリアされればぜひ残したい。「妖精ピリリ」については、ユニークさ、SFらしさ、未開のジャンルに目をつけて書いていく力を評価したいということになり、2つの作品を書いた作者それぞれの将来性に賭ける意味で、2作品同時大賞受賞ということになった。

受賞作は次のとおりである。
大賞 「きもだめし☆攻略作戦」野泉マヤ
大賞 「妖精ピリリとの三日間」西 美音

2009年3月 福島正実記念SF童話賞選考委員会


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 第25回選考経過 - 2014.12.25

第25回福島賞——第1回は1984年だから、この間に世の中は学校も家庭も子どもの遊びも随分と変わってきている。映像化の急激な進歩によって、わたしたちの〈不思議なことに目をみはる感性〉も弱められているかに見える。しかし、手前味噌のようだが、この賞から生まれたSF童話の数々は、いま読み返してもそのおもしろさに古さが感じられない。「サイエンスフィクションで装いながら普遍的な子どもの世界を描く」というSF童話の特性によるものだろうと思う。
今回もそんな作品が得られるだろうか。期待しながら選考に入っていった。

今回の応募総数は139編だった。いつものように全作品を対象に第一次選考をおこない、つぎの19編を通過作品とした。

「月のしずくのペンダント」加藤英津子
「ぼくは、アンテナ星人だい!」白川みこと
「ゴッド・レゴリスを取りもどせ」佐藤伊津子
「スパイ許可証」田辺公一
「変身ママ」おおぎやなぎちか
「井戸」小竹守道子
「とうめい人間になっちゃった!」おおのさとみ
「ガガーリンは眠い、野球やるぞ」佐々木 晋
「はけんにおまかせ」希巳明代
「僕はロボット?」吉田 宏
「ママはばら色のにおい」森川和香
「ぼくらのタイムマシン・カプセル」友乃 雪
「さる記憶—さるところより、サルが、さる」井上恵子
「星すくい」七野悠己
「おかっぱ川子」三木聖子
「ロードサイン・ストッパー」塚原由紀子
「鏡の中のオレ」ふらみ 加容
「めざめよ、ねぼすけ吸血鬼!」星 洋子
「ふしぎなスノードーム」西 美音

この19編について、第二次選考をおこなう。その結果、次の6編が最終選考候補作品として残った。

「変身ママ」おおぎやなぎちか
「ガガーリンは眠い、野球やるぞ」佐々木晋
「ぼくらのタイムマシン・カプセル」友乃 雪
「星すくい」七野悠己
「おかっぱ川子」三木聖子
「ふしぎなスノードーム」西 美音

2月6日、岩崎書店において最終選考会が開かれ、この6作の評価をめぐって熱心に討議がおこなわれた。

「変身ママ」おおぎやなぎちか 死んだママの代わりにやってきたのは、どんな風にも姿を変えられる宇宙人のママだったというお話。ユニークな設定だったが、読者を引っ張っていくおもしろさがもうひとつ。読む者をドキドキさせるような工夫がもっと欲しかった。終わり方には味わいがあってよかっただけに残念。

「ガガーリンは眠い、野球やるぞ」佐々木晋 意味不明なことばばかりを発し続けるおじいちゃん。でもその行動はしっかりしている。どういうことなんだろうという興味が主人公の少年とともに読者を物語に引き込んでいく。発想もよく読みやすい文章でリアリティも感じられた。ただし、最後に社会的なテーマを生なままに出されて一度に興が醒めてしまった。

「ぼくらのタイムマシン・カプセル」友乃 雪 タイムトラベルものだが、時間の理屈に走らず、過去・現在・未来のじぶんが一堂に会して問題の解決に力をあわせるといったわかりやすい物語。SF的処理にこだわりすぎなかったのはよいのだが、問題解決のストーリーがやや単純すぎるように思われた。話のあちらこちらにキズもみられたが、全体的にまとまっていた。

「星すくい」七野悠己 夏祭りのある日、神社の境内の一角でひっそりと店をひろげる金魚すくいならぬ星すくいの屋台に出会った話。遊び仲間と飛び回る夕暮れの夏祭り、小さなプールのなかで泳ぎ回る星雲たち、見知らぬ女の子。神秘的な雰囲気が魅力で読ませるが、不思議なものに出会っただけで、ストーリー展開がない。グレードも高くなっていて、中学年の子どもたちが楽しむ物語にはなっていなかった。

「おかっぱ川子」三木聖子 スイミングに通う男の子が、川で溺れかけていたその女の子(河童)を助けたところからはじまる河童と少年との友情の物語。定番の設定と現代っ子らしい河童の女の子の存在が、古風さと新しさの両方を感じさせる。まとまっていてキズもなく完成度は高いのだが、ワクワクさせてくれる要素がない。新しい河童物語と言えないところが不満だった。

「ふしぎなスノードーム」西 美音 ずっと以前に亡くなったおじいちゃんが、自分の若い頃のいたずらの後始末をたのみに、孫の夢の中に現れる話。スノードーム(水のつまったガラスの器。球形などをしていて逆さにしてから戻すと中の粉が白い雪のように降って見える玩具)が、おじいちゃんと孫をつなぐアイテムとなる。ミステリー的な味わいがあり、スノードームもうまく使われていて、完成度は高い。ただし、読者を引きつけるおもしろさの点では弱すぎた。「水が情報を記憶する」ということをストーリー上にもっと生かせたらよかったのだが。

残念ながら、これで決まりでしょうと推選の声が一点に収束していくような強力な作品は見られなかった。いずれの作品を大賞にすべきかと討議をかさねるなかで、二次選考終了時の得点では上位につけていなかった「ぼくらのタイムマシン・カプセル」が大賞に決まった。読者となる子どもたちが一番楽しめる作品という評価がこの作品を大賞にした。

賞の選考では、みてきたようにさまざまな側面から作品評価が行われる。ほとんどの作品が高く評価される点とマイナスとみなされる弱点や疵を合わせもっている。文学的完成度の高さはもちろん求めるもののひとつに違いないが、読者の子どもたちをドキドキワクワクさせる読み物であってほしい。読者を楽しませる作品でなければ、出版を前提とするこの賞で大賞を獲得するのは難しいとご理解いただきたい。

受賞作は次の通りとなった。
大賞 「ぼくらのタイムマシン・カプセル」友乃 雪
佳作 「ふしぎなスノードーム」西 美音
佳作 「おかっぱ川子」三木聖子

2008年3月 福島正実記念SF童話賞選考委員会


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 第24回選考経過 - 2014.12.25

昨年(第23回)は、「ヌルロン星人をすくえ!」「恋するトンザエモン」の2作が同時に大賞に選ばれるという華やかな年であった。タイプの異なる二作は、どちらも年末に出版され、それぞれに好評を得ている。

毎年同じように募集をしていても、その年によって応募総数も違えば、作品の粒の揃い方も違う。今回の応募総数は、149編。作品数はここ十年の平均的な数であるが、さて質のほうは如何であろうと楽しみにしながら、いつもの通りに全作品を対象にして一次選考をおこなった。その結果、以下の15編を通過作品とした。

「究極のそうじきイチコロン」 柴野理奈子
「ノンちゃんの未来日記」    下村文春
「年輪つむぎの店」      古野孝子
「ウルトラマンはだれだ」 あんどうあつこ
「一発逆転ガブとぼく」 おおぎやなぎちか
「アイスクリームを食べたロボット」いしもりくにお
「ぼくとギーリのガチャガチャマシーン」 関美和子
「となりの吸血鬼」      加藤英津子
「お化け屋敷九階屋」   なかじょうゆき
「ポケットに、風」       西 美音
「音の見える国」        井嶋敦子
「落とした宇宙と拾った冒険」 奥深由紀恵
「めざせ よりよい生活」    石井ゆみ
「地球にひっこし大作戦」    松井 智
「ぼくがもれちゃった」     安藤邦緒

この15編について第二次選考をおこなう。この時点では飛びぬけて高い評価の声は聞かれなかった。最終選考候補作品として残ったのは、例年よりやや少ない5編のみとなった。

「となりの吸血鬼」      加藤英津子
「ポケットに、風」       西 美音
「音の見える国」        井嶋敦子
「落とした宇宙と拾った冒険」 奥深由紀恵
「めざせ よりよい生活」    石井ゆみ

2月7日、岩崎書店において最終選考会が開かれ、この5作の評価をめぐって長時間熱い討議がおこなわれた。

「となりの吸血鬼」加藤英津子 亡き妻の面影のある女性を追って、ルーマニアから日本にやってきた吸血鬼のロクさん。彼と主人公の少年の交流が、読みやすい素直な筆致でほのぼのとつづられている。ただ、ファンタジーとしての盛り上がりが弱く、その点を惜しむ声が相次いだ。

「ポケットに、風」西 美音 読みやすく、ハートウォーミングな作品だが、ポケットの中の〈風〉がイメージしにくい。しかも主人公がそれを使いこなせないため、他の登場人物に事件を解決してもらう話になってしまった。読者にとって主人公が活躍してくれない不満は大きい。

「音の見える国」井嶋敦子 音を聞くと色が見えるという感覚を扱い、設定としては興味深かったが、主人公(子ども)の目線ではなく、作者の(大人の)視点で話が展開されているのが残念。ラストも中途半端に思え、爽快感に乏しいようだ。作者の筆力がアイデアに追いつけなかったのかもしれない。

「落とした宇宙と拾った冒険」奥深由紀恵 戦隊もの、ブラックホール、恐竜など、読者にアピールしそうな要素をそろえ、人物配置にも工夫が見える。だが、それがマイナスにも働いて、わかりにくいところが出てきた。この作品は五〇枚で書く中学年対象の福島賞ではなく、長編のジュニア冒険小説大賞向けだったのでは、という意見も出た。

「めざせ よりよい生活」石井ゆみ 家族のためを思っているのよ、と通信販売で買い物をしつづける母親。それにふりまわされつつ、従っている父親と息子。風変わりなホームドラマだが、意外に読者の共感は得られそうだ。ありえないと思いながら楽しく読んでしまう。その風刺性には納得できるものがある。グレードはやや高めであった。

今回は、「これこそ大賞!」と積極的に作品を推す選考委員の声がなかった。候補作の評価は割れ、一時は「該当作なしか」の声も上がった。
福島賞の作品は基本的に小学生で読みこなせて、SFあるいはSF的なおもしろさが表現されていなければならない。この賞を獲ることのむずかしさが、改めて確認された選考会であった。
討議を重ねた結果、風刺SFというここ数年の受賞作にはなかったタイプの作品で、その突き抜けたおもしろさが魅力の「めざせよりよい生活」を大賞と決定した。また、今後への期待を込めて「となりの吸血鬼」と「落とした宇宙と拾った冒険」の2作品を佳作とした。

受賞作は次のとおり。

大賞 「めざせ よりよい生活」 石井ゆみ
佳作 「となりの吸血鬼」   加藤英津子
佳作 「落とした宇宙と拾った冒険」奥深由紀恵

なお、第10回以来長く選考委員を務めてこられた木暮正夫氏が、選考期間中の1月に逝去された。木暮氏は、児童文学者として、また児童文学者団体の要職にあって、超多忙な毎日を送りながらも、児童文学をめざす若い人たちへの応援には力を惜しまない人であった。今回も、病床にあって、1次選考を済ませ、2次選考の作品を読んでおられた。長年この賞のために尽力された木暮氏の姿が選考会になかったことを、選考委員一同心から残念に思った。心よりご冥福をお祈りする。 2007年4月
福島正実記念SF童話賞選考委員会


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 第23回選考経過 - 2014.12.25

今回の応募総数は189編、昨年をわずかながら下回った。いつものように全作品を対象に第一次選考をおこない、つぎの16編を通過作品とした。

「タイムチケット」      藤江じゅん
「カラクリウム」        駒井洋子
「ご近所の神さま」       佐藤佳代
「七月七日まで七日」  おおぎやなぎ ちか
「筆よさらば」        後藤隆之介
「ヌルロン星人をすくえ!」  麻木まり子
「メガネの中にジジイがいる」祭コズエモン
「プリンス・ハエタロウ」    鈴木尚巳
「漬物石と鬼の夜」       廣嶋玲子
「USO銀行」        木村ひろみ
「恋するトンザエモン」    小野靖子
「どこでもタクシー、走る!」 関美和子
「ぼくのばく」        森 夏月
「ビー玉観察日記」      増寺ゆき
「幽界飛行船」        青上 井
「悪夢いただきます」    新月あうる

この16編について、第二次選考をおこなう。その結果、次の8編が最終選考候補作品として残った。

「タイムチケット」     藤江じゅん
「カラクリウム」       駒井洋子
「ご近所の神さま」      佐藤佳代
「七月七日まで七日」 おおぎやなぎ ちか
「ヌルロン星人をすくえ!」 麻木まり子
「恋するトンザエモン」    小野靖子
「ビー玉観察日記」      増寺ゆき
「悪夢いただきます」    新月あうる

2月1日、岩崎書店において最終選考会が開かれ、8作の評価をめぐって熱心に討議がおこなわれた。

「タイムチケット」藤江じゅん 古いキップの欲しかった主人公が、時間旅行のチケットを手に入れ過去へタイムスリップ、父親のひみつを知るという物語。破綻なくうまくまとめられ、温かさも感じられた。ただ、三十数年前の世界の描写など、大人は喜びそうだが子どもの目線になっていないところに難がある。物語の動き出しも遅かった。

「カラクリウム」駒井洋子 裏通りにある、からくりだらけの不思議なお店が舞台となったファンタジー。宮沢賢治の童話を連想させるような印象深さをもっているのだが、作品世界が小さく、物語性が乏しい。話をもっとふくらませる工夫がほしかった。

「ご近所の神さま」佐藤佳代 処は東京・神田、時は正月。じいちゃんと祠の神さまが登場して、お屠蘇・お神酒の香りがただよう物語だが、子犬を飼いたいという主人公の思いを軸に、動物の命の重さを訴えた作品。感動的で終わり方もよい。ややグレードが高く、テンポの遅いことが気になった。

「七月七日まで七日」おおぎやなぎ ちか 江戸時代のお姫様がタイムトンネルをくぐって現代へやってきたお話。テンポもよく、読んでいて微笑ましい。過去へもどったお姫様が、タイムトラベルの体験をもとに書いた「昔話」が、劇中劇のように盛り込まれているが、おもしろいという意見と退屈とする意見に分かれた。せりふづかいなど、もう少し文章に気遣いがほしかった。

「ヌルロン星人をすくえ!」麻木まり子 校外学習で、滅亡の危機にある星をすくいにいく三十一世紀の小学四年生のお話。低学年にもわかりやすい。物語自体はやや単調だが、ワクワクさせてくれそうなスペースオペラだ。便利さの行き過ぎが星人を怠惰にしたことが危機の原因になっているなど、SFの常道ともいえる文明批評の側面をもち、SF童話らしい作品に仕上がっている。

「恋するトンザエモン」小野靖子 おかあさんの日記帳の守り神が姿をあらわし、一目ぼれした女の子のために神通力を乱発してさまざまな事件を巻き起こす物語。アイデアに見合った無理のないスケールにうまくまとめられ、おもしろい作品となっている。構成、テンポ、文章とも文句ない仕上がりだった。

「ビー玉観察日記」増寺ゆき ビー玉はいつか知らぬまに数が減っていく。その謎を解明しようとビー玉観察を夏休みの自由研究に選んだ二人の少年の観察日記。発想のおもしろさととぼけた味わいは群をぬいているのだが、物語としての整理が悪い。前半と後半の印象に差があるなど、全体の構成にもっと配慮がほしかった。

「悪夢いただきます」新月あうる 夢を食べる動物バクをネタに友情と混乱を描いた物語。読みやすい文章でおもしろく読ませたが、グレードが高かった。また「夢を食べるバク」を素材にしたとしても、物語としてはもっと幅をひろげてほしい。工夫次第でもっとたのしい読み物になりそうだ。

各選考委員の第二次選考の結果が集まったときに、最終選考会はもめるだろうと予想された。どの作品も二次選考での評価が分かれていたからだ。
予想通り選考会ではすべての作品について賛否二通りの意見がだされた。つねならば全作品にわたって一当たりの意見交換を終えたところで大方絞られてくるのだが、今回はまだその段階では大賞作のゆくえが見えなかった。消去法でいくつかの作品が大賞候補から外され、さらに討議がつづけられた。
最終的に、わかりやすさとSF本来のワクワク感を買われて麻木まり子さんの「ヌルロン星人をすくえ!」が、また総合的な完成度の高さから小野靖子さんの「恋するトンザエモン」が大賞となった。第九回以来の二点大賞授賞となるが、二作とも魅力にあふれていることでは全員の意見が一致し、タイプの異なる作品であることからも二点同時授賞が決まった。なお小野靖子さんには単行本の著作があるが、絵本であることから、応募規定の資格条項とは抵触しないことが確認された。

結果、受賞作は次の通りとなった。
大賞 「ヌルロン星人をすくえ!」麻木まり子
大賞 「恋するトンザエモン」小野靖子
佳作 「ご近所の神さま」佐藤佳代
佳作 「七月七日まで七日」おおぎやなぎ ちか

今回の8作は、賢治風のファンタジーからスペースオペラまで、またテーマ性を明確にしたものからナンセンスまで、バラエティーに富んでいた。そして、それぞれが違った味わいで選考委員を楽しませてくれた。応募要項は、求める作品のジャンルを「SFおよび、SF的なファンタジー、冒険、ミステリー、ホラー、ナンセンスなどの空想物語」としている。どのジャンルが賞を得やすいということはない。要は、幼い読者たちにページをめくる喜びを味わわせ、新しい世界を体験した感動と満足感を残してくれればよいのである。
応募要項でご承知かとは思うが、今回から後藤みわこ、廣田衣世の2名が、久米穣、浜田けい子に代わって選考委員をつとめた。ともにこの賞から歩みはじめた活躍中の児童文学作家である。選考委員会も大幅に若返った。ぜひとも新しい時代を感じさせる新鮮な作品をお寄せ願いたい。
なお、選考途次の本年1月、長く本賞の選考委員をつとめてきた久米穣氏が逝去された。SFにとどまらず数多くの海外児童図書を紹介されてきた翻訳家であった。本賞の選考では、「この作品はたのしいですね」を連発される心優しい選者でもあった。ご冥福をお祈りする。

2006年4月
福島正実記念SF童話賞選考委員会


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 第22回選考経過 - 2014.12.25

最近は、映画のコピーでも小説の帯でも、SFの二文字を見かけることが少なくなった。SFという言葉がいつ頃から呪力をもたなくなったのかはわからないが、SFXと呼ばれていた特殊映像技術が特別視されなくなり、CGによってどんな世界も可視になってくるのにしたがって減ってきたような気がする。

本賞が設けられた1983年当時は、まだSFという言葉に子どもたちを引きつける魅力があった。子どもたちの想像力をかきたてる物語、日常の生活空間を超えた物語を楽しんでもらいたい。そんな作品と作家の登場を願って設けられたこの賞は、名称をSF童話賞とした。そして、日本のSF界の先駆者福島正実氏の名前を冠した。

20年以上が経ち、SFという言葉のもつ呪力はうすれ、福島正実の名を知らない世代もふえた。第16回からは募集ジャンルを、「SF」から「SF的な空想物語」へと広げた。しかし、この賞が求めているものの本質に変わりはない。もっともっと、子どもたちをワクワクさせ、不思議な思いに引きずり込んでくれる読み物がほしいのだ。
そんなことを思いながら選考にのぞんだ。今年は、日本にSFを根づかせることに力を尽くし、SF童話というジャンルを切り拓いた福島正実氏が亡くなられて、30年の節目にあたる。

今回の応募総数は197編だった。いつものように全作品を対象に第一次選考をおこない、つぎの一五編を通過作品とした。

「気分はとってもカッパ巻き」 藤咲みど
「運命にねらわれた!」 山本ひろし
「地獄におちた!!」 麻生かづこ
「からかさおばけのぴょん太」 さとうあゆみ
「ぼくが地球をすくうのだ」 石井 清
「宇宙からきたセールスマン」 きむらよしえ
「月面ボランティア」 村瀬継弥
「ムッシーとぼく」 水野さゆり
「やまがみさん」 希巳明代
「魔法使いメルクと砂の魔人」さくらの・はる
「あやかし姫の鏡」 西村さとみ
「光線が来る夜」 増寺ゆき
「鉛筆の魔法」 國方浩子
「ぼくらのリサイクル携帯電話」ゆききよとし
「2月29日のたずねびと」 関美和子

この15編について、第二次選考をおこなう。その結果、次の7編が最終選考候補作品として残った。

「気分はとってもカッパ巻き」
「地獄におちた!!」
「からかさおばけのぴょん太」
「ぼくが地球をすくうのだ」
「あやかし姫の鏡」
「光線が来る夜」
「2月29日のたずねびと」

2月21日、岩崎書店において最終選考会が開かれ、この7作の評価をめぐって熱心に討議がおこなわれた。

「気分はとってもカッパ巻き」 かっぱ型宇宙人を登場させた物語。軽い語り口調が達者で読ませたが、いまひとつ工夫が足りない。いじめの扱い方への疑問など、物語づくりに不満の声があがった。

「地獄におちた!!」 頭をぶつけた主人公たちが地獄にまよいこむナンセンスで楽しい話。ただし地獄を舞台に選び、えんま大王や赤鬼などの役者を揃えたのなら、話はもっと面白くふくらませられるだろうというのが一致した意見となった。

「からかさおばけのぴょん太」 唐傘のおばけが、数十年という長い時間の中で、つぎつぎと女の子や男の子と友だちになっていく。可愛らしい話で印象は悪くないのだが、そのぶん強く訴えるものがなかった。

「ぼくが地球をすくうのだ」 宇宙人から、このままでは地球が爆発するといわれ、こわれたUFOのかけらを探してまわる話。とくに新鮮味のある話というわけではないが、SF的な工夫が感じられた。文章、ストーリーとも軽く、ばかばかしいけれど、それなりの面白さがある。

「あやかし姫の鏡」 古い鏡台に棲むあやかし姫によって、ちがう世界に引きずり込まれそうになる物語。ふたつの顔をもつあやかし姫など、キャラクターづくり、ストーリーづくりとも悪くはないが、いずれもありがちなファンタジー仕立てで、もうひとつ魅力が足りなかった。

「光線が来る夜」 正体不明の光線が鉄塔や工場の煙突を切り倒すところから話がはじまり、SF的に工夫された作品。ただし物語の展開よりも、あやしげな男たちを登場させて雰囲気づくりに傾いてしまったため、子ども向きの童話から離れてしまった。

「2月29日のたずねびと」 うるう年の2月29日に生まれたおばあちゃん。誕生日に年齢が四分の一になって……という物語。話としてはまとまっているのだが、先が読めてしまう。アイデアをもう少しひねってもらいたかった。

選考委員に対する強烈なアッピールという点では、どれもいまひとつであった。最終選考に残った作品であるから、それぞれに評価できる点はあるのだが、それぞれに弱点も感じられる。飛びぬけた作品がなかったため、討議は難航したが、最終的にSF童話らしい素直な作品ということで、「ぼくが地球をすくうのだ」が大賞に決まった。

受賞作は次の通りである。

大賞 「ぼくが地球をすくうのだ」 石井 清
佳作 「地獄におちた!!」 麻生かづこ
佳作 「からかさおばけのぴょん太」さとうあゆみ
佳作 「あやかし姫の鏡」 西村さとみ

着想を面白く感じても、手垢のついていないアイデアなどというのは、ないと考えたほうが良い。選考委員会が求める新鮮さとは、アイデアを物語にどう生かすかにかかっているのである。

2005年3月
福島正実記念SF童話賞選考委員会


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 第21回選考経過 - 2014.12.25

福島賞を主催している創作集団プロミネンスと岩崎書店では、一昨年から、高学年以上向きのエンターテインメント作品(及び作家)の発掘を目指して、福島賞の兄貴分ともいえる「ジュニア冒険小説大賞」の公募をはじめた。そちらの第二回の最終選考会が昨年末に行われたのだが、そこで大賞を獲得したのは、昨年4月の第20回福島賞で佳作受賞をした藤野恵美さんだった。

本賞の受賞者が別の賞でまた受賞を果たすのは、格別にうれしいことだ。過去には、本賞の大賞作が本になってから他の賞に輝いたこともある。第6回の八起正道作『ぼくのじしんえにっき』(サンケイ児童出版文化賞/全国読書感想文コンクール課題図書)、第16回の神季佑多作『わらいゴマまわれ!』(ひろすけ童話賞)などである。福島賞の出身者が次々と活躍し、「福島賞での受賞はこの世界で活躍できることの証」と認識されるようになってくれたらありがたいかぎりだ。

今回の応募総数は170編だった。いつものように全作品を対象に第一次選考をおこない、つぎの15編を通過作品とした。

「さかさませかい」 ごとうあつこ
「雨への祈り」 中井有造
「ポットニックスの夢騎士」 中澤康介
「ゴーストの配達屋」 今村沙羅
「ぼくは怪人リス男」 後藤 剛
「おかず天国からの手紙」 上野由紀
「デカゼミくん」 熱田ミハル
「苦しいときのカメだのみ」 中崎千枝
「ノーズダートきょうじゅ」 大橋小恵子
「ゆうれいレンタル株式会社」 山田陽美
「ぼくたちのカッコわりい夏」 荒井寛子
「万華鏡の丘」 望月 舞
「怪奇! サボテン男」 青葉けむし
「オバッケン」 不動坊多喜
「ここがあたしの家」 大浦佐紀子

この十五編について、第二次選考をおこない、つぎの九編を通過作品とした。

「さかさませかい」 ごとうあつこ
「ぼくは怪人リス男」 後藤 剛
「おかず天国からの手紙」 上野由紀
「ゆうれいレンタル株式会社」 山田陽美
「ぼくたちのカッコわりい夏」 荒井寛子
「万華鏡の丘」 望月 舞
「怪奇! サボテン男」 青葉けむし
「オバッケン」 不動坊多喜
「ここがあたしの家」 大浦佐紀子

2月3日、最終選考会が開かれ、最終選考に残った9作品について、活発な討論が開始された。

「さかさませかい」 喘息で入院中のサトルが、さかさまになって天井を歩けるようになった物語。電線を伝ってさかさま世界を楽しむ発想はおもしろいが、それをいかしきっていないところが残念 だった。絵をつけたら楽しそうな作品なので、もっと話をふくらませて欲しかった。

「ぼくは怪人リス男」 主人公が、リスの能力をもつ薬を飲んだことからはじまるナンセンス・ストーリーだ。ジャンプ力を身につけ、怪盗コウモリ男やネズミ男と対決するのは、変身物の常道過ぎや しないだろうか。作者は、前回も佳作を受賞した力のある書き手だけに、もっと常識をつきぬけたバカバカしい展開で、楽しませてほしかった。

「おかず天国からの手紙」 給食や夕御飯のおかずから手紙がとどいた。おかずたちにも天国があるらしい。そしてあつしも『豚肉あつし』となって、おかず天国学校の残り物クラスへ……。おもしろいアイデアなのだが、救いがないままに終わってしまうのは、ブラックユーモアのつもりなのだろうか。読後感がさわやかになるように仕上げてもらいたかった。

「ゆうれいレンタル株式会社」 優真は、部屋にあらわれた男の子のゆうれいを利用してひともうけを企む。しかし、物語の展開とともに、ゆうれいになった男の子と病弱な優真の弟の姿が重なってくる。楽し そうなタイトルだが、読者はしんみりした気分にさせられる。構成やテンポはよい。散見される乱暴な言葉づかいにやや問題ありとされた。

「ぼくたちのカッコわりい夏」 教室にいたマコトとシンの二人は大地震でタイムスリップ、行き着いた先は二人の父親たちがいる数十年前の教室だったという物語。作品はうまくまとまっているのだが、いかんせん書き古されたパターンで、ラストの予想がついてしまうところが難点。筆力があるだけに、惜しい気がした。

「万華鏡の丘」 おじさんからもらったハンカチで涙をふくと、奈奈子は行きたいところへ連れていってくれるエレベーターの中に。次に涙をふいたときには、深心の里という異界にいた……。 作品が観念的で本賞が読者対象とする三・四年生には難しそうだ。しかし、情感をだいじにしながら描かれたファンタジーという点で印象は良かった。

「怪奇! サボテン男」 転んだひょうしにトゲを刺したことから、トシオは左手がサボテン化しはじめる。本気 で心配してくれない両親、珍しい病気の発見に舞い上がる医者など、ナンセンス風にテンポよく話は進むのだが、ドタバタに終始して話がふくらまない。梅干しを食べたら治って しまうという結末にも、もう一工夫が欲しかった。

「オバッケン」 お化けの学校からやってきた落ちこぼれお化けの話。第十八回の選考でも最終選考まで 残った作品。手を入れての再チャレンジだ。キャラクターには魅力があるのだが、残念ながらまだストーリーがしっくりこない。そろそろ新しい作品でトライして欲しい。

「ここがあたしの家」 老人介護用の少女ロボットが、人間の少女にとってかけがいのない親友になっていく物語。記憶を失ってしまったはずのロボットが、思い出を取り戻しつつ再会する結末にはジーンとさせられる。素直で印象の良い作品だが、その分だけインパクトが弱い。ロボットの少女と人間の少女の性格づけにも工夫が欲しかった。

福島賞の選考でキイポイントになるのは、センス・オブ・ワンダーに満ちたアイデア、スリルとサスペンスに富む物語のおもしろさ、あっとおどろくラストの意外性である。今回は特に傑出した作品がなく、選考委員の票も割れたが、さらに討議をつづけた結果、アイデアと物語で、それぞれ一歩抜け出た「ゆうれいレンタル株式会社」が全員の支持を得て大賞と決定した。
以下、受賞作は次の通り。

大賞「ゆうれいレンタル株式会社」 山田陽美
佳作「さかさませかい」 ごとうあつこ
佳作「ぼくたちのカッコわりい夏」 荒井寛子

2004年2月
福島正実記念SF童話賞選考委員会


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選考経過

大賞 「ぼくの一番星」 白矢三恵
佳作 「天才えんぴつ」 畠山真佐子

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受賞の言葉

大賞

 

流れ星☆ぼくらの願いがかなうとき』(大賞受賞時タイトル「ぼくの一番星」)白矢三恵

【受賞の言葉】
「福島正実SF童話賞で大賞をいただく」
それが私の夢でした。主人公の「ぼく」は、私だったのかもしれません。
流れ星を見つけるために、夜空をながめたこともあります。悔し涙は、何度流したことでしょう。
夢を叶えるということは、決して簡単なことではありません。でも、私はこれからもずっと、夢をもち続けたいと思っています。
この度は本当にありがとうございました。

佳作

『天才えんぴつ』 畠山真佐子

【受賞の言葉】
思いがけず5人も子どもを授かり、想像を超えたことばかりしでかしてくる子どもたちに振り回される毎日。
でもそれは、たくさんのお話の種がちりばめられた宝石箱のような日々でもあります。
今回、佳作にえらんでいただいたことで、もっともっと宝石を掘り起こしていこうと思いました。
いつか、お母さんが子どもたちの想像を超えるお話を書いてみせるからね!


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選考経過

大賞 「声蛍」 万乃華 れん
佳作 「猫を、尾行」太月 よう

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受賞の言葉

大賞

 

声蛍 万乃華 れん

【受賞の言葉】
「最初の5行で、心を鷲づかみにされた」
第27回の選考経過にある言葉です。
「ならば、私は、最初の2行で」
勇んで考え抜いた冒頭は、─きっけは、カラスのフンだった─。フンが命中するのは、ニューヨーク・ヤンキースの野球帽。
これで決まり! と意気込み書きはじめたものの、展開のもたつきに苛立ち、実は、しばらく筆を休めていました。
そこへ飛びこんできたのが、「イチロー選手、ヤンキースに移籍」。
書くしかない! そう、奮起しました。
46年の人生。悲しいこともたくさんありました。そんなとき、話を聞いてくれる人の存在に、どれほど救われたことでしょう。
この作品に込めた願いが、ひとりでも多くの子どもたちに届きますように。

佳作

『猫を、尾行』 太月 よう

【受賞の言葉】
『物語』の素晴らしいところは、何にでもなれることです。
時代や年齢、性別、種族…。全てを超越して、自分がなりたいものになれる。また、何者でもない存在になれる。
想像の中では、自由です。
だから、私は『物語』を書きます。
自分が楽しんで書いた物を、評価して頂ける…。こんなに嬉しいことはありません。
この度は、有難うございました。


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選考経過

佳作 「不思議商店街の時計おじさん」城上黄名
佳作 「わたしのスケルトン」すみ のり

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受賞の言葉

佳作

『不思議商店街の時計おじさん』城上黄名

【受賞の言葉】
受賞のお知らせをいただいた時はとにかく嬉しくてフワフワしていました。
私は一生、文章で食べていくのが目標なのでこの初めての受賞はこれからの私を支えてくれる大切な、心強い一歩だと思います。
まだスタートラインにすら立てていない私ですが確実に進んでいると実感できたことが嬉しいです。
もっと勉強して、本を読んで、いろんな人に会って、面白い話を書いて、早く両親に家を建ててあげたいです。
岩崎書店の皆様、私の話を読んでくださった全ての方々に感謝しています。本当にありがとうございました。



『わたしのスケルトン』すみ のり

【受賞の言葉】
昨年耳鼻科を受診した時に見た自分の頭骸骨のレントゲン写真。その時感じたドキッ!が段々と膨らんでいって、『わたしのスケルトン』になりました。
思えば、初めて書いた10枚の童話が某コンクールで入選してから、2匹目のドジョウを狙って投稿するたびに、選外を繰り返していました。「もしかしたら、もう少し長い童話の方が合っているかも…」と思ってチャレンジしたのが、今回の作品です。
「もうちょっと続けてみなさい」というエールをいただいたように思います。選考委員の先生方、岩崎書店の皆様に、心から感謝します。


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選考経過

大賞 「とどけ! 夢へのストライク」(「大賞受賞時タイトル「進化する夢の中で」)桜井まどか
佳作 「昆虫Gがやってきた!」 こうまる みずほ

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受賞の言葉

大賞

とどけ! 夢へのストライク(「大賞受賞時タイトル「進化する夢の中で」) 桜井まどか

【受賞の言葉】
私は、昨年息子を出産したのですが、息子は体が弱く、入院したり検査したり心配の連続でした。夜、息子が寝つくと病気のことについてネット検索をしてしまい、心が暗くなる日々……。そんな中で、係わってくださった保健師さんから「胎児の成長」の話を聞き、はっとしました。
「この子は必死に生まれてきたんだ。」
そう思うと、息子の仕草一つ一つを愛おしいと思えるようになりました。そして、この物語を思いつきました。それからはネット検索の時間が創作の時間に。
大賞に選んでいただき、本当に嬉しいです。選考委員の先生方、岩崎書店の皆様、どうもありがとうございました。

佳作

『昆虫Gがやってきた!』 こうまる みずほ

【受賞の言葉】
昨夏は一度も昆虫Gを見ませんでした。福島賞の結果が出るまで、Gの補殺はしない、と決めていたのでよかったのです。でもこれから先、私に幸福をくれたGにばったり会った時は、やっぱりお礼をいうべきでしょうか?
 受賞を伝えてくださった電話を切るなり、家中に響く大声で「ヤッター」と叫びました。
「背表紙に自分の名前が書かれた本を書店に並べ、子どもたちに取ってもらう」ことが目標です。夢は遠く、めげていた私の背中を今回、ポンと押してくださった選者の先生方、岩崎書店の皆様、ありがとうございました。そして、今後ともよろしくお願いいたします。

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選考経過

大賞 「エレベーターは秘密のとびら」三野誠子
佳作 「ヨルの森の真ん中の石」小谷 有
佳作 「あすは火星におひっこし」西川由起子

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受賞の言葉

大賞

エレベーターは秘密のとびら』 三野 誠子

【受賞の言葉】
このたびは、嬉しいお知らせを頂き、ありがとうございます。選考委員の先生方、岩崎書店の皆様に、心から感謝申し上げます。
「泣ける話」が歓迎される昨今のようです。けれども私は、笑える話を書きたいと思い続けてきました。
泣ける話は、既に現実の中に溢れているように感じます。たとえば寝る前に手に取った本でふっと笑い、柔らかな表情のまま眠りに就けたら素敵です。
お陰様で、ようやくスタートラインに立つことが出来ました。手に取った子どもが笑顔になれるような物語を書けるよう、臆せず弛まず努力していきたいと思います。

佳作

『あすは火星のおひっこし』 西川由起子

【受賞の言葉】
SFは私の憧れでした。
長らく生活や闘病に追われ遠のいていたその夢を、また引き寄せることが出来た喜びを噛みしめています。
佳作をいただいたということは、なんとか読むに耐える基準に達したということでしょうか。
ようやく。でもまだまだ。
投函後に間違いに気づくなど、至らぬ作品を読んでくださった先生方並びに関係者の皆様に、心から感謝いたします。ありがとうございました。



『ヨルの森の真ん中の石』 小谷 有

【受賞の言葉】
物語を考えることはとても楽しいけれど、とても辛い。
自分の中に理想の物語があるのに、ちっともそれに追いつかない。
辛くて書くのをやめても、書きたくてたまらなくなって、また、せっせとキーボードを叩く。
今回の賞は、こんな私に勇気を与えてくれました。
私の物語が、くっきりと形をとれるように、これからも、がんばっていこうと思います。
選考委員の先生方、岩崎書店の皆様、本当にありがとうございました。


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選考経過

大賞 「きもだめし☆攻略作戦」野泉マヤ
大賞 「妖精ピリリとの三日間」西 美音

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受賞の言葉

大賞

妖精ピリリとの三日間』 西 美音

【受賞の言葉】
小学生の頃、悲しい気分の時は本を読むと楽しくなることを知り、そのうち、「自分でも書いて、人に読んでもらえるようになりたい!」と思うようになりました。けれど読むのは易く書くのは難し。いつかきっと…と思い続けて数十年。書いてもダメが丸十年。このたび大賞に選んで戴き、子ども時代からの夢にやっと踏み出せました。作品を読んで下さった先生方、岩崎書店の皆様、励まして下さった皆様、本当にありがとうございました。

佳作

『きもだめし☆攻略作戦』 野泉マヤ

【受賞の言葉】
うれしいです。
マスターズの招待状を手にした石川遼クンのように、これ(岩崎書店からの通知)があれば、すぐ笑顔になれます。
今まで箸にも棒にもひっかからなくて、でも諦めずに書き続け、奇特な人を見つけては感想をいただいていました。
昨年やっと、読んでくれる人のことを考えながら書くという、基本中の基本に気づくことができました。初めての御伊勢参りが功を奏したのでしょうか。気づかせてくれた八百万の神様に感謝!
それから、書くことの楽しさを教えてくれた祖母と、励ましてくれた家族や知人、作品を丁寧に読んでくださった選考委員の皆様に、深く感謝しています。 ありがとうございました。


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選考経過

大賞 「とんだトラブル!? タイムトラベル」友乃 雪
佳作 「ふしぎなスノードーム」西 美音
佳作 「おかっぱ川子」三木聖子

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受賞の言葉

大賞

とんだトラブル!? タイムトラベル』 友乃 雪

【受賞の言葉】
理屈も掛け値もなしに、おもしろい作品——。

つねに意識している理想です。容易に実現できません。いくつ書いても、理想どおりにいきません。結果、落選がつづきました。

けれど、私はこまかく考えることは苦手です。何度応募したって、苦労した力作がさらっと落ちたって、当日消印と必着をまちがえるという凡ミスをしたって、意識は変わりませんでした。「なんかおもしろかこつなかやか(何かおもしろいことないかな)」と妄想するのが、楽しくてしかたがない。某お菓子のように「やめられない、とまらない」という衝動が、指(執筆はパソコン派)を動かしているのでしょう。

結果として、今回この名誉ある賞をいただけたこと、大変うれしく思っています。

選考委員の先生方、岩崎書店の方々、この賞にたずさわったすべての方々には、感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。今後も、おごらず、冒頭の理想をわすれず、妄想力をふくらませて、「おもしろかこつ」を描いていきます。

最後に、これもわすれるわけにはいきません。これまで書いてこられたのは、第一読者である、大切な人の存在があったから。書くものすべてに感想をそえてくれる、奇特な……いえ、すてきな人がいたから、ここまでくることができました。一瞬たりとも疑わず、どの賞でも「受賞できる」と信じてくれた心には、どれだけすくわれたかわかりません。受賞の場を借りて。「ありがとう、名相方」

佳作

『ふしぎなスノードーム』 西 美音

【受賞の言葉】
今年1月に夢を見ました。福島賞発表冊子の左ページ下の段に私が載っています。目が覚めて、佳作の位置だと思いました。

福島賞第17回で初めて応募したときに一次選考に選んで戴いてから、ときにはペンネームを変えて何度も応募してきました。しかしその後は全く駄目で、去年初めて二次選考に選んで戴きました。そのとき気がつきました。「二次まで残れば、著名な先生方の評が戴ける!」と。温かいお言葉も厳しいお言葉も、全てが嬉しくてなりませんでした。次回も二次選考まで残って作品への評を戴きたいという思いが、あんな夢を見せたのでしょう。

先日、岩崎書店の方からお電話を戴いたとき、真っ先に思い出したのはその夢のことでした。「佳作に…」という声を聞きながら、夢どころかついに妄想にまで発展したか? という疑いを持ち、こうして受賞の言葉を書いている今も疑いを捨て切れません。

「まだ応募資格が残っていますから、来年もチャレンジしてください」という温かい(?)お言葉がリアルだったから、現実だとは思うのですが。ありがとうございました。

佳作

『おかっぱ川子』 三木聖子

【受賞の言葉】
このたびは、岩崎書店の方から連絡をいただき、「いつも応募してくださって……」の言葉に、入賞の知らせと同じくらいびっくりしてしまいました。

まさか、自分の名前を覚えていてくださるとは!

ずいぶん前、童話賞に応募してみようと初めて考えたのが、この福島正実記念SF童話賞でした。

しかし、その童話は完成することなく、応募を断念。

今は、あのとき作品を応募しなくて良かったと、つくづくそう感じています。万一、あの作品の作者だと記憶されていたなら、どんなに深い穴を掘って入ってみたところで、羞恥心がおさまりそうにありません。
恥をかくたび、これからはもっともっと全力投球を——と決意しつづけています。何より、作者自身が後悔しない創作活動を心がけていきたいと思っています。

今回は、この「おかっぱ川子」で入賞させていただいたことに、いっそうの喜びを感じています。まことにありがとうございました。

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大賞

めざせ よりよい生活

めざせ よりよい生活」 石井ゆみ

【受賞の言葉】
児童文学を学び始めて九年。書けば書くほど世の中にはなんと上手な人の多いことか、何かの賞を取るなんて夢のまた夢と思っていました。それでもいつかと思いつつ投稿……。
思いがけず、大賞に選ばれたとの電話。
エー! その夜はパニック。もしかしたらキャンセルになるかも知れないと、親類縁者にしばらくは報告できませんでした。
選考委員の先生方、岩崎書店の皆様、選んで下さって本当にありがとうございました。
 
 

佳作

「となりの吸血鬼」 加藤英津子

【受賞の言葉】
学生時代から愛用してきたワープロで書いた最後のお話が、今回佳作に選んでいただいたものとなりました。今から読み返すと欠点ばかりが目立つ作品で はありますが、大切に使ってきたワープロからの、最後の大きな贈り物のように感じられます。
この受賞を励みにして、よりよいものを書き続けていきたいと思います。選考委員の先生方、関係者の方々には感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。


「落とした宇宙と拾った冒険」 奥深由紀恵

【受賞の言葉】
子供と私は、寝る前の本読みタイムが大好きです。佳作受賞の電話を頂いた時は、二人で竜退治の冒険に出ていました。
応募作品は、子供に読み聞かせて、おもしろいよ、と言ってくれたので投稿させて頂きました。選んで下さいました、選考委員の先生、岩崎書店編集部の皆様、ありがとうございました。この度の嬉しい賞は、とても励みになります。子供たちが楽しめる物語を、もっと上手く表現できるように、これからも頑張りたいと思います。


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大賞

ヌルロン星人をすくえ!

ヌルロン星人をすくえ!」 千東正子

【受賞の言葉】
今回は素晴らしい賞をいただき、選考委員の諸先生方、そして岩崎書店の方々には、感謝の気持ちでいっぱいです。賞の重みを考えると、正直不安も感じますが、それでも、やはり夢はひろがります。一人でも多くの子どもたちに読んでもらいたいなあ。学校やいろんなことに疲れたとき、本を開いて、そしてくすっと笑ってもらえたらなあ……と、こんな風に考えるだけで嬉しくてたまりません。本当にありがとうございました。

《略歴》1958年、鳥取市に生まれる。同志社大学文学部英文科卒業。障害をもつ長女のために童話を書きはじめる。子どもとともに児童文学賞(愛知県教育振興会主催)で、最優秀賞、優秀賞を受賞。愛知県在住。


 
恋するトンザエモン

恋するトンザエモン」 小野 靖子

【受賞の言葉】
9月30日、福島正実記念SF童話賞の締切日は、わたしの誕生日でもあります。ちょっとした運命のようなものを感じつつ、3度目となった今回の応募で憧れの賞をいただくことができました。励ましをくださった多くの皆様、選考委員の先生方、どうもありがとうございました。そして、今回、わたしの一部となって物語を書いてくれたパートナー、万年筆のメイちゃんにも心からの感謝を。これからも一緒に、楽しい物語を書いていきましょう!

《略歴》1973年、神奈川県に生まれる。横浜市立大学文理学部を卒業後、童話創作をはじめる。日本児童文学者協会会員。「きいろいたんぽぽ童話の会」同人。絵本に『(か)ってなんだ?』(BL出版)、共著にごちそう大集合5『今日はびっくりハンバーガー』(偕成社)がある。岡山市在住。
 
 

佳作

「ご近所の神さま」 佐藤 佳代
「七月七日まで七日」 おおぎやなぎ ちか


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大賞

ぼくが地球をすくうのだ

ぼくが地球をすくうのだ」 石井 清

【受賞の言葉】
いやあ、うれしいです。
突然の受賞の電話にはじめは何がなんだかわからない状態でした。しかも大賞だというではないですか。自分がどんな受け答えをしたのかも思いだせないほどでした。後の編集者の方からの電話で「本当だったんだあ」とあらためて喜びを実感したしだいです。
作品は「おもしろいもの」を第一に考えて書きました。子どもたちに笑顔で読んでもらえるように工夫したつもりです。なにより本人が楽しく書くことができたのが良かったのかなって思っております。
選考委員の先生方、関係者の皆様には何とお礼を言ったらよいのかわかりません。今後もさらに努力をし、創作を続けることでお返しになればと考えております。
本当にありがとうございました。

《略歴》1968年、東京都生まれ。東京都在住。日本児童文学者協会「第31期日本児童文学学校」最優秀賞。
 
 

佳作

「地獄におちた!!」 麻生かづこ
「からかさおばけのぴょん太」 さとうあゆみ
「あやかし姫の鏡」 西村さとみ


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大賞

ゆうれいレンタル

ゆうれいレンタル株式会社」山田陽美

【受賞の言葉】
二月三日、節分。
私は、今年の恵方である東北東をむき、丸かぶり寿司にかぶりついていました。
その後、「厄よけ饅頭」という、これまた御利益がありそうな饅頭もほおばり、「これで、きっと福が来るはず」と、幸せな気分でくつろいでいると、電話が鳴りました。
てっきり旦那さんからの帰るコールだと思ってのんびりとでてみると、なんと中尾先生からのお電話でした。わ、わ、私が大賞!?
それから先のことは、舞い上がってしまいあまり覚えていません。ただ、受話器を持つ手が緊張のため異常に冷たくなってしまったことだけは、はっきりと覚えています。
やっぱり、丸かぶり寿司と厄除け饅頭を食べたおかげでしょうか。いえ、私の拙作を選んでくださった選考の先生方のおかげです。
本当にありがとうございました。これからも、自分らしさを追い求めながら書き続けていきたいと思います。
 
 

佳作

「さかさませかい」 ごとうあつこ
「ぼくたちのカッコわりい夏」 荒井寛子


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『宇宙ダコ ミシェール』ながたみかこ


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『グッバイグランパ』服部千春


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『ぼくらの縁むすび大作戦』廣田衣世


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『ママがこわれた』後藤みわこ


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『わらいゴマまわれ!』神季佑多


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『100年目のハッピーバースデー』石田ゆう子


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『お手本ロボット51号』中松まるは


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『ぼくのわがまま電池』大塚菜生


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『ボンベ星人がやってきた』竹内宏通


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『未来からきたカメときょうりゅう』藤本 たか子







 
 

『宇宙動物園ザナズー』吉田 尚志


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『きまぐれなカミさま』黒田けい







 
 

『にんげんのたまご』内田浩示


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「パパがワニになった日」馬場真理子







 
 

「めいたんていワープくん」武馬美恵子







 
 

「未完成ライラック」本田昌子


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『天才えりちゃん金魚を食べた』竹下龍之介







 
 

『ママがエリコでエリコがママで』中村ルミ子


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『ママはドラキュラ?』まるおか かずこ


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『ぼくのじしんえにっき』八起正道







 
 

『ガールフレンドは宇宙魔女』田村理江


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『お姫さまは自転車にのって』望月博之


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『地球をかいにきたゾウ宇宙人』オカダヨシエ


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『タッくんの空中トンネル』瀧尾洋一


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こちら古親こうかん車

『こちら古親こうかん車』永田良江


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実施回数受賞作応募総数選考経過
第33回 『透明犬メイ』辻 貴司 216編 選考経過を見る
第32回 『おばけ道工事中』 草野あきこ 225編 選考経過を見る
第31回 『ぼくの一番星』 白矢三恵 225編 選考経過を見る
第30回 『声蛍』 万乃華 れん 293編 選考経過を見る
第29回 大賞作なし 247編 選考経過を見る
第28回 『進化する夢の中で』 桜井まどか
263編 選考経過を見る
第27回 『エレベーターは秘密のとびら』三野誠子
234編 選考経過を見る
第26回 『きもだめし☆攻略作戦』野泉マヤ
『妖精ピリリとの三日間』西 美音
194編 選考経過を見る
第25回 『とんだトラブル!? タイムトラベル』友乃 雪 139編 選考経過を見る
第24回 『めざせ よりよい生活』石井ゆみ 149編 選考経過を見る
第23回 『ヌルロン星人をすくえ!』千東正子
『恋するトンザエモン』小野靖子
189編 選考経過を見る
第22回 『ぼくが地球をすくうのだ!』 石井キヨシ 197編 選考経過を見る
第21回 『ゆうれいレンタル株式会社』 山田陽美 170編 選考経過を見る
第20回 『宇宙ダコ ミシェール』ながたみかこ 164編  
第19回 『グッバイ!グランパ』服部千春 105編  
第18回 『ぼくらの縁むすび大作戦』廣田衣世 112編  
第17回 『ママがこわれた』後藤みわこ 210編  
第16回 『わらいゴマまわれ!』神季佑多 152編  
第15回 『100年目のハッピーバースデー』石田ゆう子 89編  
第14回 『お手本ロボット51号』中松まるは 126編  
第13回 『ぼくのわがまま電池』大塚菜生 94編  
第12回 『ボンベ星人がやってきた』竹内宏通 191編  
第11回 『未来からきたカメときょうりゅう』藤本たか子 198編  
第10回 『気まぐれなカミさま』黒田けい 204編  
第9回 『パパがワニになった日』馬場真理子
『めいたんていワープくん』武馬美恵子
92編  
第8回 『天才えりちゃん金魚を食べた』竹下龍之介 157編  
第7回 『ママはドラキュラ?』丸岡和子 154編  
第6回 『ぼくのじしんえにっき』八起正道 67編  
第5回 大賞作なし 100編  
第4回 『地球をかいにきたゾウ宇宙人』オカダヨシエ 57編  
第3回 大賞作なし 75編  
第2回 大賞作なし 54編  
第1回 大賞作なし 48編  

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ジャンル SFおよび、SF的なファンタジー、冒険、ミステリー、ホラー、ナンセンスなどの空想物語で単行本になりうるもの。
グレード 小学校3・4年から読め高学年でも楽しめるもの。
原稿枚数 400字詰めで50〜60枚(枚数厳守)。
※字詰め、行数は自由。ただし、400字で換算した枚数を明記すること。
書き方など 本文とは別に〈福島賞応募〉と朱記、次にタイトル、筆名と本名、住所、電話、性別、年齢、職業を明記。原稿は縦書き、頁数=通し番号をつける。袋綴じ禁止。応募原稿は返却しません。一人一点に限ります。
資格 創作児童文学の作品を商業出版していない方。
二重応募の禁止など 他の公募に応じたことのある作品、応募中の作品は選考対象外。なお、全応募作品について、賞の発表(授賞式)後6カ月間は岩崎書店にオプションを設定します。
選考委員 南山宏、石崎洋司、後藤みわこ、廣田衣世、岩崎書店
送り先 〒112-0005 東京都文京区水道1-9-2
岩崎書店内福島正実記念SF童話賞選考委員会
応募締切り 2017年9月末日。当日消印有効。
※今回より隔年開催となりました。
発表 2018年4月1日岩崎書店ホームページにて発表。雑誌「日本児童文学」等に発表。
大賞は賞状と賞金20万円。佳作には副賞。
出版 大賞作品は岩崎書店から出版。規定の部数以上について印税を支払います。

応募について、くわしくは岩崎書店編集部まで
TEL.03-3813-5526 FAX.03-3812-1381
までお気軽にお問い合わせください。

主催=創作集団プロミネンス・岩崎書店

 よくある質問 - 2014.12.25

Q,何点まで応募できますか。
A,お一人様一点でおねがいします。

Q,アンソロジー(短編集)を商業出版したことがあるのですが、応募できますか。
A,アンソロジーなどでしたら、問題ありません。過去の受賞者にもいらっしゃいます。

Q,以前ほかの公募に応募した作品はそのまま応募できますか。
A,応募できません。

Q,自費出版で出したことのある作品を応募できますか。
A,応募できません。お送りいただく作品は、未発表のものに限らせていただきます。

Q,商業出版していたが、版元が倒産した作品を応募できますか。
A,一度でも商業出版したものは、ご遠慮いただいております。

Q,原稿用紙でなくてもいいですか。
A,原稿は、手書き、ワープロ、ワード原稿などなんでも構いません。

Q,同人誌で評判の良かった作品を応募できますか。
A,可能です。但し、どの同人誌にいつ出されたのかは明記してください。

Q,フォーマットは400字詰めに合わせなくても、総ワード数があっていればいいですか。
A,字詰めは、400字詰めでなくてもかまいません。最後に「400字詰換算○○枚」と記してください。

Q,自分のブログに発表した作品を送ってもいいですか。
A,昨今のブログの利用状況には種々心配される面がありますので、ブログ発表後の応募は不可とさせていただきます。選にもれた後に発表される分には問題ありません。

Q,子どもが主人公ではないのですが、応募してもいいですか?
A,読者対象が福島賞(中学年)、ジュニア冒険小説(高学年)になりますが、作品の主人公については特に限定していません。

Q,オプションとはなんですか。
A,優先出版権です。

その他応募の詳細については、応募要項をご覧ください。
ご不明な点は、下記お問合せフォームよりお問合せください。

主催=創作集団プロミネンス・岩崎書店

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